2008年7月から2年間、カリフォルニア大学バークレー校 公共政策大学院に留学しています。まとまりのないひとりごとです。


by knj79

環境上の欠乏が引き起こす紛争(ケーススタディ)

では、ES(Environmental Scarcity)によって紛争が引き起こされる
具体的な事例を見てみましょう。

① バングラデシュ―アッサム
 
この50年間、バングラデシュの人口は増加しつづけており、、2025年までに
人口が1990年の2倍になると予想されています。増え続ける人口を養う
ために過耕作を続けた結果、良い耕作地が減り、それにともない食料生産量が
減ってしまいました。

十分な食料が得られない数百万人(!)のバングラデシュの人々は、
インドのアッサム地方に移住しました。
この膨大な数の移民は、受け入れ地域であるアッサム地方の政治経済に
大きな影響を与え、社会ストレスを増加させ、深刻な民族間、集団間の
紛争(Intergroup Conflict)を引き起こしました。

その一例としては、インドのLalung族(ヒンズー教徒)が、イスラム系移民に
対して、農地を奪われたことへの怒りから攻撃し、その結果1,700人の
移民がなくなったという事件もありました。

バングラディシュ政府はこのような環境難民のインドへの移住を防ぐことを
試みているものの、難民の流出は止まらず、インド国境での緊張は続いて
います。

この事例は、人口増加という要因から紛争が引き起こされた事例として
紹介されています。

② セネガル河川流域

次の事例は、食料生産を増加すべく実施した灌漑の大規模開発プロジェクト
が、結果として淡水という再生資源への市民のアクセスを逆に制限し、
紛争を引き起こしたというものです。

実は、このプロジェクトは①のような食糧生産の低下による環境難民を
防ぐために実施されたものだったのですが、結果としては集団間の紛争を
引き起こしてしまったのでした。
難しいものです。

(続く)

これも普通に授業をやっている大学の校舎です。いまだに観光地に来ている気がしてなりません。
d0127680_17494311.jpg

[PR]
トラックバックURL : http://mppryugaku.exblog.jp/tb/8304084
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by レスター at 2008-07-20 11:47 x
いつも紹介ありがとうございます。とても分りやすく興味深く拝読させていただいております。日本では一日に大量の残飯が捨てられてしまうのにね。「過耕作を続けた結果、良い耕作地が減り、それにともない食料生産量が減ってしまった」という因果関係、これでいいのか、これだけなのか、ちょっと疑問が残ります。というのも、先祖代々使ってきた土地を耕作し続けてよい耕作地が減ったという話し、不思議と現場でまだ耳にしないの。私が知らないだけかもしれないけど、耕作地で困っている人の話しをきくと、大資本家の影響であったり、緑の革命の影響であったり、近隣諸国からな安い農作物に対抗するために農薬を大量に使ってしまった農法とか(この場合も農薬を売る人がちゃんといるんだよね)、もしくは土地そのものが減ってしまう(土地改革などで、所有権が不明確だったのが、明確になっていくことで、孫の代の土地と思っていいた土地が、誰か他の人の土地になってしまうなど)などで、人が増えすぎて耕す土地が無くなったっていう話、まだであってないんだよね。国境って興味深いよね
Commented by レスター at 2008-07-20 11:47 x
。②の事例も興味深いね。今はどうなっているんだろう。食糧が足りないんじゃなくって、分配の問題だっていう説とかはどうかかわってくるんだろう。写真とっても綺麗だね。素敵なキャンパスで、本当によかったね。↓の図書館も!掃除もとても綺麗に行き届いていて、すごくきれい。また色々教えてくださいね。楽しみにしております。
Commented by knj79 at 2008-07-21 01:24
そうですね。この論文を読んで驚いたのは、環境難民(耕地や水、燃料が足りなくて土地を離れる人たち)が紛争を引き起こすカギだということです。人が増えすぎて耕す土地がなくなるというのは、バングラディシュなど、人口密度と人口増加率がきわめて高い場所に場所に限定されるのかもしれません。
また、所有権の問題は、まさにそのとおり!セネガルのケースはそれにあてはまります。そして、資本家等の分配の影響は、第三のフィリピンのケースです。また説明していきますね。
キャンパスはきれいすぎて、ちょっとまだなじめません!
by knj79 | 2008-07-19 17:29 | 環境政策 | Trackback | Comments(3)