2008年7月から2年間、カリフォルニア大学バークレー校 公共政策大学院に留学しています。まとまりのないひとりごとです。


by knj79

村上春樹がバークレーにやってきた

(今日は感情に素直にかいちゃうので、皆さんにはひかれてしまうかもしれないです。すみません)

講演の後、友人とコーヒーを飲んで部屋に帰ってきたのだけど、まだ少し興奮してる。うまく書けるかどうかわからないけれど、明日になったら忘れていると思うので書いてみる。先日の予告どおり、とうとう村上春樹がバークレーにやってきた。

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前にも書いたが、僕は彼のファンだ。「街と、その不確かな壁」以外、彼の著作は全て読んだ。彼の本ほど、何度も繰り返し読んだ本はない。思い入れのある作家もいない。親友の聡くんと、部活でくたくたになったあと、駒場の第二体育館や井の頭線の渋谷駅で作品についてあれこれ話したことが懐かしい。聡君、読んでるか。村上春樹を見てきたぞ。

とっても好きな作品もあれば、そこまででもない作品もあるけれど、僕にとっては特別な作家。蓮見先生になんといわれようとも。

そんなわけで、思い入れがありすぎて、あほらしいけど少しどきどきしながら、友人のKさんと一緒に会場に向かった。巨大な会場が既に満員になっていて、いまさらながら村上春樹のアメリカでの人気に驚く。来る前、アメリカ人のクラスメート何人かに村上春樹知ってる?と聞いたところ、みんな好きな作品を挙げながら(スプートニクの恋人、海辺のカフカが人気だった。へえ。)、「今度来るんだろ?信じられないよね」と言っていた。どんな国の空港に行っても、小さな本屋をのぞいても、彼の小説はだいたいおかれている(何で知っているかというと、毎回チェックしている。)。

会場のキャパシティは、500人以上あったと思う(注: Ayaさんからの情報提供で、2000人の収容人数と確認。ありがとうございました!)。30ドル弱(バークレーの学生はディスカウントあり)する入場券は結構前に売り切れていた。僕のまわりを数えてみたところ、観客の9割はアメリカ人だったと思う。8時を少し回ったところで、照明がおちた。

バークレーの日本研究センターのDuncan所長が、村上の紹介を始める。「普通の生活をおくる普通の人々が主人公になる物語を書き続けてきた」。ほんとにそうだ。素晴らしいイントロだ。なお、Berkeley-Japan Prizeというものを今回創設し、その第一回受賞者となったのだそうだ。

Please help me welcoming Haruki Murakami!の合図で村上春樹が壇上に登場、大きな拍手が会場を包む。しばらくして拍手が鳴りやんだあと、英語で村上が話し始める。おお、こういう声なんですか。

ユーモラスな語り口で、幾度となく会場が笑いに包まれる。話は春樹ファンにはおなじみ、彼が小説を書き始めたときの話。僕はこの話が昔から好きだ。神宮球場で、ヤクルトスワローズの試合を見ていたときに、小説を書こうと思い立つ。そしてアパートのキッチンで、毎日ジャズバーの仕事を終えた後、朝まで小説を書く毎日。
「僕は何かを書くべきだとは分かっていたけれど、何を書けばよいか分からなかった。」
そうして書き上げた作品を出版社に送り、受賞し、職業作家となった。
「自分の書きたい文章を書いた。足りないところもあると思うけれど、オリジナルな作品だった。とても面白いと言ってくれた人もいたし、もちろん批判する人もいた。人と違うことをすることは、日本ではとても難しいことだ」。

そして、次は日本語で自作の朗読。それに続いて東大の講師であるRolandさんが英語で音読。なんと、作品は「とんがり焼きの盛衰」!これは意表をつかれました。もちろん以前読んではいたんだけれど、どういう物語なんだろうなあと思っていた。なんでこの作品を選んだのかなと思ったら、前段のお話との完全なアナロジー。実はこういう意味があったとは。

その後、Ronaldさんとの対談。会場からも質問をとった。1995年の大震災とサリン事件、夢の話、オブセッション、ランニング、カラマーゾフ、総合小説、故河合隼雄先生、好きな音楽、そして井戸を掘る話、心の闇、物語。春樹ファンにはおなじみのお話が続く。

シリアスな話でもユーモアを交えて、笑いが絶えない。

あと、詳細は割愛するけど、来年は春樹ファンにとってうれしい年になりそうです。

やっぱりバークレーでも中古レコード屋に行かれたそうです。
「16年前にバークレーに来たときは、今よりずっとたくさん中古レコード屋があったよ。今は2つしかないんだ。「ラスプーチン」と「アメーバ」。しかしなんでこんな変な名前なんだろう。やっぱり、
バークレーってちょっとおかしいよ!

という一言で館内が大きな笑いに包まれたあと、温かいスタンディングオベーション。村上春樹さんは舞台の袖に消えていきました。

帰り道、著作を販売していたので、「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」を購入してしまいました。英語で読んでみよう。



敬体常体混合ですが、今日はこのへんで!
楽しかった!
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by knj79 | 2008-10-12 16:23 | 村上春樹