2008年7月から2年間、カリフォルニア大学バークレー校 公共政策大学院に留学しています。まとまりのないひとりごとです。


by knj79

オバマ・バイデンエネルギー政策

GSPPでもちょっと話題のオバマ次期大統領のウェブサイト

change.gov

誰でもオバマ政権のポストに応募できるようなので、ご興味のある方はどうぞ。アメリカ人のクラスメート曰く、「Kも環境政策で応募してみたらいいんじゃないの?P.S. 市民権もお願いしますってかいてさ」。まあ、環境政策をやるものにとっては、やりがいのありそうな政権ではあるけどね。

さて、その中で、例によってエネルギー・環境政策を取り上げてみます。

Agenda>Energy and Environment

オバマ次期大統領は、エネルギー・気候変動政策のことを、大統領になった際の政策のトップ2かトップ3の重要事項として常にあげています。ヘルスケアやイラク問題・アフガニスタン問題など他の重要事項を抑えてのことです。(開票前日か前々日のインタビューでは2位と答えていました。トップはFinancial Crisisへの対応でした。)。当然、CNNなどのニュースショーでも、climate change/energy independenceは極めて盛んに取り上げられています。

少し話はずれますが、日本の新聞サイトを読む限り、日本の報道ではそのことがほとんど無視されてますよね。意図的なのか、そうでないのかはわかりませんが、日本に戻っても、アメリカなど海外のニュースは直接見ようと思いました。この気候変動やエネルギー問題に関するアメリカの注目の度合や取り上げられ方が、日本のニュースでは全く伝わらないのではないかと思うのです。日本のメディアはどうなってるんだろう。ぶつぶつ。

話は戻って、上記サイトの引用。

The Obama-Biden comprehensive New Energy for America plan will:

① Provide short-term relief to American families facing pain at the pump
② Help create five million new jobs by strategically investing $150 billion over the next ten years to catalyze private efforts to build a clean energy future.
③ Within 10 years save more oil than we currently import from the Middle East and Venezuela combined.
④ Put 1 million Plug-In Hybrid cars -- cars that can get up to 150 miles per gallon -- on the road by 2015, cars that we will work to make sure are built here in America.
⑤ Ensure 10 percent of our electricity comes from renewable sources by 2012, and 25 percent by 2025.
⑥ Implement an economy-wide cap-and-trade program to reduce greenhouse gas emissions 80 percent by 2050.

(注)数字は筆者がつけました。

ざっくりまとめると、
① ガソリン価格高騰への短期的な支援
② 5百万人の緑の雇用(Green Job/Green Collar)創出(期限:2019)
③ 中東・ベネズエラからの石油の輸入廃止(期限:2019)
③ 国産のプラグイン・ハイブリッド車の100万台導入(期限:2015)
④ 再生可能エネルギーによる電力供給。2012までに10%。2025までに25%
⑤ 排出量取引。2050までに温室効果ガス80%削減

さらにまとめると
1. ガソリン車の燃費向上、電気自動車導入により石油使用を削減し、エネルギー自給。
2. 再生可能エネルギーで電力をまかなう。
3. 1.2.を通じて雇用創出。
4. 以上の動きの駆動力として排出権取引。
となるかと思います。

少し解説をしますと、いま盛んに言われているアメリカにとってのエネルギー自給とは、ニ中東・ベネズエラからの石油輸入をなくすこととほぼ同意なのです。その他の一次エネルギー(石炭、天然ガス、ウラン)は、当面問題ないので、今アメリカ人が"energy independence!"と言っているときに念頭においているのは、中東・ベネズエラからの石油をなくすことといって差支えないと思います。

さて、アメリカはその石油を何に使っているかというと、7割以上をガソリンにしています。もひとついうと、電力生産にはほとんど使っていません。じゃあ何に使っているのかというと、石油化学製品等の製造(プラスチックなど)なのですが、これは石油以外ではまかなえませんから、ここはあまり減らしようがありません。

つまり、喫緊のエネルギー自給の課題>自動車による石油消費の削減
となるわけです。その削減策としては、まあいろいろと考えられるのですが、燃費向上と電気自動車(とその前駆体的なプラグイン・ハイブリッド)を選んできましたね。

確かに、全部電気自動車にしてしまえば、石油の使用量を7割近く減らすことができます。石炭は豊富にあるので、電力にはこの国は困らないのです。車だけは石油にしか走らすことができなかったので困っていたわけですから。

さらに、CAFE Standard(アメリカの燃費規制)を強化するようですね。オイルショック時にカーター政権で立案されたこの規制は、アメリカの自動車の平均燃費の低下にほとんど寄与してきませんでした(この理由もいつか書こうとおもって、時間がありませんでした。今度書きます)。これを強化できれば、普通自動車への規制に関してはオイルショック以来の強化になるはずです。

また、プラグインハイブリッド100万台、というのはアメリカの自動車の1%にも満たないわけですが、まず6年後と時間を区切ってそこまで達成する、そこまで政府が徹底的に支援するということなのでしょう。ここは当然、GMが開発中のボルトが念頭にあるのでしょう。また、シリコンバレーの超有名ベンチャーteslaもあります。

デトロイトの自動車産業は、民主党の協力な支持基盤です。(関係ないですが、僕が予算プロジェクトで担当するDaleさんは、まさにその自動車産業に支えられて当選している民主党下院議員です。)昨日のオバマ氏の会見でもデトロイトの支援がまず来ていましたが、この経営危機を乗り切ってもらわないと、上記の電気自動車にもつながっていかないわけです。上記CAFE Standardはデトロイトの度重なるロビイングにより一部しか改正できなかったのですが、今回の支援によりついに抜本的改正がなされるかもしれません。

(長くなったので次回に続きます)
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Commented by @yano at 2008-11-24 08:19 x
初めまして。検索で引っかかってブログにお邪魔させていただきました。
私も今年からイギリスに大学院留学していて、ポピュラー音楽と環境問題についての研究しています。環境政策にも興味があるのですが、いかんせん話が難しくてついていけない部分もあったので、記事を読ませて頂き、大変参考になりました。
トラバ送らせていただきました。またブログにお邪魔します。
Commented by knj79 at 2008-11-24 18:21
>@yanoさん
ブログ拝見させていただきました。環境と音楽、おもしろそうですね!僕のブログも固いことを書いていますが、わかりにくいところとか、こういうことを知りたい、などありましたらコメントいただけると嬉しいです。
これからどうぞよろしくお願いします。
by knj79 | 2008-11-09 06:35 | 環境政策 | Trackback | Comments(2)