2008年7月から2年間、カリフォルニア大学バークレー校 公共政策大学院に留学しています。まとまりのないひとりごとです。


by knj79

PolicyとPoliticsとの闘い

さて、より具体的にバークレーのMPPについて。

ひとつ前のエントリのとおり、バークレーは経済学系のMPPのカリキュラムですが、もちろん政治学もリーダーシップの授業も必修科目で学ぶことを学生に求めており、政治学・マネジメントのことを軽視しているわけでは決してありません。

しかしながら、PolicyとPolitics、そのどちらを重視しているかはGSPPの場合は明らかです。Policyです。Policyは政策の中身であり、Politicsは政策の実現可能性を規定します。そして、GSPPでは、1) より優れたPolicyを立案できることを第一義におき(GSPPでは、「優れた」とはefficiency, equityの二つを少なくともcriteriaとして含みつつ、その他のValueも適宜組み込んでいくこととしています)、2) その上で政治学(Political Science、Negotiation)を学び、Politicsを考慮に入れたうえでそのPolicyを実施できるように実装すること。そして、3) 利害関係者を動かし、世の中に変化を起こすこと(リーダーシップ)。この三つをできる政策立案者を育成することを目指しています。

ええ。簡単ではありません。しかし、狙いは非常にクリアであり、教授陣の熱意は学生にもひしひしと伝わってきます。その結果として、一年目の32単位のうち、24単位は必修科目という他の公共政策大学院ではありえない必修率となっています。それだけ作りこまれたカリキュラムであるということができます。

ところで、政治学の授業では、こんな風に言われました。
「PolicyとPoliticsの闘いに勝て。そのためには、優れた、きれいなPolicyを作るだけでは意味がない。Political Scienceを学び、議会、官僚組織、メディア、ロビイスト等の多様な利害関係者の行動原理を理解し、分析するツールを得て実行可能な政策を作れ。そして、彼らの行動原理を利用して政策を実行せよ」

僕は、この言葉でGSPPが目指すものを理解できたような気がします。政策立案の過程では、政策の有効性よりも政治的な実行可能性(Political Feasibility)の方が優先されることが多い(というかほとんどか)のは否定のしようがありません。民主主義はそういうシステムなのだと思います。政策は、企業、家計に大きな影響を与えるだけに、得をする人、損をする人が必ず生まれます。そのそれぞれが必死になって政治的な力を行使し、その平衡点で政策が決まる。

しかし、それに甘んじているわけにはいかないのです。最後に、GSPPの入学式での学長の言葉。
「我々(GSPP)はPolicyの力を信じている。すなわち、アイデアの力を信じている。権力(power)を愛する人は他の大学院に行くべきだ。Politicsのバランスによって政策が決まるのではなく、優れたアイデアはPoliticsをも動かし、政策を決めていくことができる。」
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by knj79 | 2009-02-02 14:35 | 公共政策大学院(GSPP)