2008年7月から2年間、カリフォルニア大学バークレー校 公共政策大学院に留学しています。まとまりのないひとりごとです。


by knj79

社会科学を学んでみて思ったこと

経済学と政治学(Political Science)をこっちにきて初めて本格的に学び、

ああ、やっぱり社会科学も科学なんだ、自然科学と目指すところは同じなんだな

と安心したのでした。
(仕事で法律学を学びましたが、あれは統制の学なので科学ではないし)

では、科学とは何かというと、僕の好きな定義は、

1.仮説を立て、
2.その仮説を検証し、
3.その仮説が適応できる範囲において、その仮説は正しいとすることが科学的な態度。
4.そして、その検証された仮説の体系が科学である。

というもの。
これは、大学2年の時に量子化学を教えていただいた北沢先生(現科学技術振興機構理事長)が授業でおっしゃったことの要約で、僕の記憶が正確かどうかはちょっとわかりません。その当時はこれを聞いて深くうなずいたし、とても明確な定義で、僕の世の中の見方をクリアにしてくれたように思います。

話はずれますが、こういう本質的なことを授業でさらっと学べるのが、大学のいいところではありますよね。

さて、社会科学もこの原則からは全然離れていなくて、それぞれのモデル(=仮説)を作って、検証し(ここが社会科学の場合は難しいんですが)、生き残った物を体系化していると。
社会学でも、文化人類学でも、おそらく構造は同じだと思います。

もうひとつ、今でも有用だなと思う概念として、

・ 物事が説明できる範囲において、モデル(仮説)は単純であればあるほどよい

というものがあります。仮説は物事の本質をやさしく(できるだけシンプルに)説明するためにあるのだから、これもとても大切なことだと思います。
複雑に書けばいいというものではない。単純であればあるほどいい。これは自然科学、社会科学問わず同じですよね。

春学期になって、計量経済学(Econometrics)で2.の検証方法を学ぶことになり、経済学も同じなのねとほっとしたのでした。
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Commented by baya @ もろ社会科学系 at 2009-02-08 04:33 x
社会科学は、「科学の顔してイデオロギーを語る」ための道具としても使われちゃうので、その点はご注意を。
Commented by blue-ink at 2009-02-08 13:25 x
もう一名、統制系ばかりやってる社会科学系です。私は、分析の結果は一つのツールであって最終的には選択の問題になるので、やっぱり社会科学って工学的かな、と思います。いろいろな側面があるものですね。
Commented by とむ at 2009-02-09 03:33 x
ポパーの反証可能性の議論ですね・・・。社会科学の場合は厳密には自然科学において想定される統御された実験なるものが出来ないので、推計結果の解釈は非常に難しいところですが。

とは言え、自然科学と一緒で観察事実を如何に解釈するかは大いに主観の問題でもあるので、そこでの謙虚さと冷静さは学者・政治家・役人・ジャーナリストがその名を語る上で最低限持っているべき資質ではあると思いますよね。
Commented by knj79 at 2009-02-09 13:30
> bayaさん
確かに。大学院での勉強の結果、そこをちゃんと見抜けるようになりたいですね(希望)。

> blue-inkさん
やっぱり科学と工学って成り立ち方と目的からして全然違って、
科学=理由を知るためのもの
工学=目的を達成するためのもの(そして往々にして科学を利用するもの)
だと思います。科学と工学の関係を範に取るなら、都市計画学や公共政策学、法学は工学、経済学や政治学、文化人類学は科学に分類されるものなのだと思います(したがって公共政策学はサイエンスではない)
ただ、「応用科学」という両者のあいのこみたいなのがあって、実際には経済学なんかは工学的に使われていますよね。まあ、ざっくりとした頭の整理ということで。

> とむさん
まさにおっしゃるとおりです。すべての科学はあくまで仮説であって、どういう検証がなされたのかまでさかのぼることが、社会科学の消費者たる政治家、役人、ジャーナリストにも最低限求められるものだと思います
Commented by blue-ink at 2009-02-10 12:22 x
科学と工学の違い、学部時代に何かの本で読んで「へぇ~」っと感心したのを思い出しました(それまで工学といえば「モノ作りの学問」というイメージしかありませんでした。)。
私はむしろ経済学より政治学の方が工学的という印象があったのですが、それは「政治分析は為政者の自己正当化や現体制への反論を契機とすることも多い。めったなことでは価値中立的ではない。」と言われつつ勉強してきたせいかもしれませんね。
アメリカに来ると、現実社会と学問の関わり方についていろいろ再考させられます。
Commented by knj79 at 2009-02-15 06:00
> blue-inkさん
ほんと、アメリカの学問と社会のかかわり方からはいろいろと考えさせられます。日本もどういうふうにしていけばいいのか、思考中です・・・。
by knj79 | 2009-02-07 05:28 | 公共政策大学院(GSPP) | Trackback | Comments(6)