2008年7月から2年間、カリフォルニア大学バークレー校 公共政策大学院に留学しています。まとまりのないひとりごとです。


by knj79

蒋介石の日本人観・中国人観

意外に思われるかもしれませんが、アメリカに来ている留学生は日本の政治や政策、経済、宗教、文化などについてよく勉強していて、日本人(僕)にいろいろな疑問をぶつけてきます。アジア・太平洋の友人は言うに及ばず、南米の友人も勉強している傾向がありますね。アメリカ人はそうでもない(まあ、留学してくるような留学生のほうが国際関係に興味が強いのは当たりまえかもしれません)
そういうとき、こちらも日本との比較で彼らの国について話を聞くことができるので、ついつい一時間くらい話し込んでしまうこともあります。

日本の政策立案プロセス、政官関係、総理の頻繁な交代、太平洋戦争、神道と仏教と禅、系列と終身雇用、教育制度、社会階級あたりがよく聞かれることです。こちらとしては、日本代表として聞かれているようなものなのでこりゃ適当に答えていられないなと日本人、アメリカ人、イギリス人などが書いた日本史の本を読んでいます。

バークレーは伝統的に日本研究・東アジア研究が盛んな大学であり、東アジア図書館という膨大な日本語の蔵書を有する便利な図書館があるので、たまに足を運んで借りて読んでいます。

枕が長くなりましたが、「日中戦争」(講談社現代新書)という小林英夫先生が書かれた本が東アジア図書館に新刊で入っていたので、読んでみたらこれが面白い。日中戦争(1938-1945)における日中の戦略を比較し、日本=ハードパワー・中国=ソフトパワーという構図は現代でも変わっていないことを示して今後の日中関係についても考察するというもの。

その中で、日本に留学をし、中国の国民党軍を指揮して日本軍を迎え撃った蒋介石の日本人・中国人観が鋭かったのでご紹介しますね。


蒋介石の日本人観・中国人観
 蒋介石の戦略の根底には、日本人と中国人についての彼ならではの分析があった。両国の国民性をも考慮したうえで導かれた戦略であったことがわかる例を紹介しよう。
 三八年一月十一日の「(略)抗日戦の検討と必勝の要諦」(略)で、彼は日本人と中国人の長所・弱点を比較して次のように述べている。

・ 日本側の長所
 小ざかしいことをしない
 研究心を絶やさない
 命令を徹底的に実施する
 連絡を密にした共同作業が得意である
 忍耐強い

・ 日本側の短所
 国際情勢に疎い
 持久戦で経済破綻を生ずる
 なぜ中国と闘わねばならぬかが理解できていない

・ 中国側の長所
 国土が広く人口が巨大である
 国際情勢に強い
 持久戦で戦う条件を持っている

・ 中国側の短所
 研究不足
 攻撃精神の欠如
 共同作戦の稚拙
 軍民のつながりの欠如


戦争というのは、国力と国力のぶつかり合いということで、どうしても現在の状況に対するメタファーとして読んでしまうのですが、蒋介石が指摘した特質は70年前からどれほど変わっているだろうかと考え込んでしまいました。ここで書かれた長所というのは、現在でも日本の他国に対するアドバンテージとして誇るべきものだとアメリカに来て実感しますが、他方でハードパワー(経済力・軍事力等)に頼りソフトパワーを軽視する傾向と大局観を持ったリーダーシップの欠如については、これまた現在においてもある程度いえてしまうのではないか?

時間軸と空間軸の中に日本をおいて、今後の日本社会の針路を考える力。明日からすいすいと仕事で使えるような能力ではありませんが、今後政策を作っていく上で欠くことのできない力だと思います。目的地を目指して出発するときに、どんなに速度が速い車でも、地図を持っていなければ逆方向に走ってしまうこともあるのです。
留学中は歴史について学び、世界中から集まった友人や教授と議論することができます。そういった力をつけるトレーニングとしてまたとない機会だと思うので、自分なりの考えをまとめていきたいと思います。
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by knj79 | 2009-03-01 03:29 | その他