2008年7月から2年間、カリフォルニア大学バークレー校 公共政策大学院に留学しています。まとまりのないひとりごとです。


by knj79

カテゴリ:公共政策大学院(GSPP)( 98 )

留学報告1 GSPPのカリキュラムの概要

留学報告2 必修科目

留学報告3 選択科目

最後に、IPA、サマーインターン、修士論文(APA)について説明する。これらはGSPPがもつ政策立案のフレームワークである"Eightfold Path"を活用して、現実の政策課題を解決するプロジェクトである。(Eightfold Pathに興味のある方は、Eugene Bardachの政策立案の技法を参照ください。アメリカの多くのポリシースクールで用いられている教科書です。)

1) IPA(一年目春学期4単位。Introduction to Policy Analysis)
 まず、IPAは、連邦政府やNGO等のクライアントに対して、5名程度のグループを組んでコンサルティングを行うプロジェクトである。私のグループは某自治体をクライアントとし、住宅・商業ビルへの新エネ・省エネ関連投資のための低利債権の発行スキームとその需要規模に関する調査分析を行った。
 他のポリシースクールにおいても同様のプロジェクト形式の授業は行われているが、GSPPの特徴は、同校が開発したEightfold Pathという政策立案のフレームワークに忠実にプロジェクトを実施し、同フレームワークを実地で叩き込むことにあると思う。また、一年目にグループプロジェクトが行われるのも珍しいことのようだ。
 同フレームワークはGSPPの学生にとって九九のようなものであり、GSPPのすべての授業がこのフレームワークを前提としているといっても過言ではない。IPAでは、プロジェクトに加え練習問題も交えながら、フレームワークの使い方を学んでいく。また、RAND研究所などの優れたシンクタンクのコンサルティングレポートを読み、プロフェッショナルな政策コンサルティングのあり方を学ぶ。また、プロジェクトの最後に行われるプレゼンテーションの準備レクチャーと、最終発表のビデオに基づく教授からの個別指導はプレゼンテーションスキルの向上に非常に有用であった。
一学期間みっちりとグループメンバーと共同作業をすることにより、アメリカ人の中で自分はどう貢献できるのかを肌身で理解することができた。グループメンバーからのフィードバックで最も高い評価を受けたことも大きな自信になった。この経験は、のちのサマーインターンや他授業のグループワークでも活かすことができたと思う。

2) サマーインターンシップ
 1年目と2年目の間の夏休みには、最低10週間、フルタイム(週40時間)でインターンをすることが義務付けられている。他のポリシースクールでは一定の職業経験があれば免除されることが多いが、GSPPでは免除は認められない。
 インターン先はGSPPのジョブデータベース等を活用して学生が各自応募し、書類選考、面接を行って内定を得る。インターン先は、連邦政府・議会、州政府・議会、国際機関、民間企業、コンサルティング、NGO等にまんべんなく広がる。私の年は、連邦政府や世界銀行、コンサルティングファームなどでインターンをした学生が多かった。なお、私はサンフランシスコのエネルギー企業にてインターンを行った。
 GSPPのキャリアオフィスのサポートも充実しており、レジュメの作成方法、面接指導、ネットワーキングの仕方等、ほぼ隔週で学生向けのワークショップを開催している。キャリアアドバイザーもレジュメの添削など親身に相談に載ってくれる。私もインターン探しのためにいくつかに参加したが、キャリアを能動的に展開していく上で重要な考え方やスキルが身につくものであった。
インターン自体は、学校と同じくらいすばらしい学習機会となった。エネルギー政策の受け手である企業の戦略的な行動とは何かを企業内部から考えることは、政策を作る側にいては得られない、貴重な経験であった。また、アメリカの企業での意志決定のスピード感や、幹部のリーダーシップを間近でみることができたことも、参考になった。同僚によれば、同社は巨大なエネルギー企業の本社なのでやや官僚的だということだったが、それでも十分な衝撃だった。

3) 修士論文(APA。二年目春学期9単位)
 プロフェッショナル・スクールであるポリシースクールとしては珍しく、GSPPでは修士論文(Advanced Policy Analysis: APA)の執筆が求められる。ただし、これは学術的な論文ではなく、クライアントに対するコンサルティングレポートである。学生は、一年目を終えるとAPAのクライアントを探し始める。そして、そのテーマに応じて指導教官を決定する。学生は8人程度からなるゼミに所属し、毎週行われる3時間のミーティングにおいて、各自の研究の進捗状況を報告し、全員でディスカッションをすることになる。
 APAでは、二年間で学んだスキルを総動員して定量分析を含む政策分析を行う。私はDan Kammen教授のゼミに所属し、日本の太陽電池政策の費用対効果分析について研究を行った。
太陽電池政策に関してはCO2削減、雇用創出という目的関数が重要である。また、短期のコストだけではなく、イノベーション(学習効果)及び規模の経済による中長期のコスト削減効果についても考慮に入れる必要がある。
 以上を踏まえ、私の研究では、イノベーション政策や雇用創出モデルに関する文献調査を行った上で、コストや雇用に関する過去データをもとに、中長期的な大量生産によるコスト削減の効果も含めた費用対効果計算モデルを構築し、2020年までのCO2削減及び雇用創出に関する動的な分析を行った。また、海外製品に対する価格競争力等の不確定要因も考慮し、政策のリスク管理のために感度分析を行った。
 研究の主な結論を要約すると、
・ どのような楽観的な仮定を置いても日本の国内市場は太陽電池の大幅なコスト削減を可能にするほど大きくはなりえない。コスト削減に重要なのは、はるかに巨大な海外市場である。
・ 雇用創出についても、海外市場への輸出が大きな影響を持つこと。すなわち、海外製品に対するコスト競争力と海外市場における日本製品の占有率が雇用の点でも重要であること。
・ このため、二酸化炭素削減・雇用創出のどちらの点でも、国内市場が世界市場を上回る速度で拡大させる政策(固定価格買取り制度等)の費用対効果は低い。
・ 費用対効果を高めるためには、イノベーション及び規模の経済による生産コスト削減が重要である。このため、生産サイドの政策をより重視して実施すべき。
・ 需要サイドの政策としては、国内市場は海外市場と足並みをそろえて拡大するべきであり、再生可能エネルギーの目標(電力需要の10%)は、風力発電等のより安価な再生可能エネルギーを優先的に導入することで達成すべき。
・ 国内目標は、一年間の導入総額の上限を設け、世界的なパネル価格の上昇からの影響から隔離(Insulate)することが有効。

 私の修士論文は、エネルギー政策、イノベーション政策、雇用政策を統合的に定量分析する研究は例がなく、かつ国際的に重要性が高いなどの評価を得、幸いにも七十近い修士論文の中からSmolensky Prize(最優秀修士論文賞)を受賞した。


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by knj79 | 2010-08-08 22:29 | 公共政策大学院(GSPP)

留学報告3 選択科目

留学報告1 GSPPのカリキュラムの概要

留学報告2 必修科目


2年目は全学からどのような選択科目(ただし大学院レベル)を履修してもよい。これは、一年目に汎用的な政策立案のフレームワークを身につけていれば、そこから専門化を図ることは容易であるが、その逆は難しいというGSPPの理念からくるものである。なお、このような考え方は、GSPPの卒業生にも広く支持されており、そのカリキュラムの有効性が立証されていると考えられる。

 選択科目の専門化の方向性としては、①政策分野(環境・エネルギー、医療、経済・金融等)に特化する方向と、②政策手法(計量分析、リサーチデザイン、費用対効果分析、交渉学等)を深化させる方向と、大きく二つに分けられる。①の政策分野に特化する場合には、ビジネススクールや工学部等の他学部の授業を活用することができる。バークレーの各学部は各種ランキングで全米トップ5に入るものがほとんどであるため、どのような分野でも質の高い教育を受けることができる。一方、②の政策手法についてはGSPPが充実した選択科目を提供している。私はエネルギー政策に特化した授業選択を行った。

 まず一年目に、GSPPとエネルギー資源グループ(ERG)の共同科目であり、バークレーで最も有名なエネルギーの授業である"Energy and Society"(秋学期4単位)を履修した。これは、私の指導教官でもあるDan Kammen教授が、化石燃料から原子力、再生可能エネルギーまで、技術、経済、政治、途上国開発の観点から網羅的に教える授業である。バークレーのエネルギー関連授業のいわば入り口となる授業であり、同校でエネルギー政策を学ぶ方全員におすすめしたい授業である。

 他学部では、ビジネススクールのEnergy and Environmental Market(Severen Borenstein教授。春学期3単位)とエネルギー資源グループのEnergy Economics(Richard Norgaard教授。春学期3単位)を受講した。これらの授業は共に、化石燃料と再生可能エネルギーと排出権、デリバティブのマーケットについて、歴史的背景も含めて、ミクロ経済学及びファイナンスの観点から分析するものであった。ビジネススクールの授業は、エネルギー企業というミクロの立場から、マーケットにおいてどのような戦略をとると利益を最大化できるかを学んだ。特に、シミュレーションゲームで産油国や電力会社の立場からマーケットを見る経験ができたことは、今後排出権取引市場等の制度設計を行う上で有効と感じた。一方、エネルギー・資源グループの授業では、よりマクロな視点、業界の歴史や経済学の思想が強調されていた。特に、様々なエネルギー経済モデルの仮定を明らかにし、エネルギー・資源問題を分析する際の経済学の限界を理解することができた。

 また、いわゆるグリーンイノベーションを促進する政策を学ぶため、GSPPのMargaret Taylor教授の"Environment and Technology from Policy and Business Perspective"(秋学期4単位)を受講するとともに、同教授を指導教官として、我が国の再生可能エネルギー政策をイノベーションと経済学の理論から分析するIndependent Study(秋学期3単位。個人指導により論文を執筆するもの)を受講した。

このほか、Lee Friedman教授の経済学のゼミ(Microeconomic Organization and Policy Analysis。秋学期3単位)を受講した。これは政策立案に特に有効な情報の経済学、産業組織論、行動経済学、イノベーションの経済学等について、週に4本の論文を輪読しつつ、それらの理論を用いて各人の興味のある政策課題を分析し、一学期間かけて論文を執筆するというものであった。私は、カリフォルニアの現行の再生可能エネルギー政策(特にRPSと固定価格買取制)を分析し、リバースオークションの導入による経済効率及びイノベーション促進効果の向上を提案した。

 世界屈指の総合大学であるバークレーでは、極めて面白い授業があらゆる分野で揃っており、学びたいことが学べないということはまずないだろう。逆にほとんどの人は、面白そうな授業が多すぎて、授業選択に悩むことになる。

留学報告4 プロジェクト(IPA)、サマーインターン、修士論文(APA)



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by knj79 | 2010-08-08 18:21 | 公共政策大学院(GSPP)

留学報告2 必修科目

留学報告1 GSPPのカリキュラムの概要

GSPPでは学生に対し、どの政策分野でも汎用的に活用できる能力・スキルを一年目に身につけることを課している。このため一年目は必修科目が四分の三を占める、かなりがっちりとしたカリキュラムになっている。このようなカリキュラムの自由度のなさは、逆にGSPPの卒業生へのしっかりとした品質保証を与えることを可能としている。すなわちGSPPの卒業生は、必修科目を通じて、
・ ミクロ経済学、定量分析の確固としたスキルを持ち(The Economics of Pubic Policy Policy Analysis 、Decision Analysis, Modeling, and Quantitative Methods)
・ Eightfold pathというGSPP流の政策立案の型を身に着け(Introduction to Policy Analysis、Advanced Policy Analysis)、
・ 政治学・リーダーシップ論をベースに公的機関のトップの参謀として効果的な政策立案・実行を担う(Leadership and Strategy、Political and Agency Management)ことが期待されている。

 一方、一年目の必修中心のカリキュラムが終わると、二年目はほぼ自由に選択科目を取ることができるので、各人の政策分野に集中することができる。
 以下に各必修科目に関する概要・感想をまとめる。

The Economics of Pubic Policy Analysis (通年8単位)
 政策立案・評価において経済学(一部ファイナンス)をどのように活用するかを学ぶ。一学期に三回のテスト、二週間に一度のプロブレムセット、一学期に二度のポリシーメモの作成と、手を動かして経済学の基礎を叩き込むと同時に、経済学を「使って」政策を作る訓練を積む。このため、経済学を学んだことがなくても一年目が終わる頃には政策立案に経済学を使えるレベルまで高めることができる。Lee Friedman, Steve Raphael両教授はとにかく教えるのがうまく、自分も含めて経済学に引き込まれてしまう学生は数多い(経済学の博士課程に進むものもいる)。
 この授業の目標は、経済学的に正当な政策を作り、その上で、経済学を学んでいない政治家、政府高官、メディア、NGO等に対して、経済学の専門用語を使わずに彼らを説得できるようになることであった。例えば、行政組織のトップに対するポリシーメモには、経済学の専門用語を使うことが許されていない。
このように、無味乾燥な経済学を学ぶのではなく、いかに経済学を政策立案のツールとして使うかを学ぶ実践的な内容であった。内容はNicholsonの"Microeconomic Theory"とFriedmanの"Microeconomics for Public Policy Analysis"の全範囲である。

Decision Analysis, Modeling, and Quantitative Methods(通年8単位)
 政策の効果を定量的に評価する計量経済学の手法を学ぶ。こちらも経済学同様の宿題・テストの構成でワークロードは重いが、その分得られるものも大きい。この授業の目標は、①自らデータを定量的に分析して仮説を検証できるようになることと、②経済学等の論文を読みこなして政策立案に役立てることの二つである。①については統計分析ソフトSTATA等を用いて、政策に関するデータを計量経済的に分析する手法を学び、練習を重ねる。一方、②については、計量経済的な分析のいわば「賢いユーザー」としての能力を高めることも重視し、経済学の論文を読んで、モデルの立て方にどのような問題があるか、分析結果に異なる解釈がないか、などを検討する訓練を行う。
 内容はWoodridgeの"Introductory Econometrics"とKenkelの"Introductory Statistics for Business and Management"の全範囲である。

Leadership and Strategy(秋学期4単位)、Political and Agency Management(秋学期4単位)
 前者はリーダーシップの諸原則を、ケーススタディや自らの経験に照らし合わせて学ぶ授業であった。クリントン政権時の労働長官で日本でも有名なRobert Reich教授は私が出会った中で最も話のうまい方であり、リーダーシップというとらえどころのないソフトスキルを実体験と結びつけて教えらえる希有な教授であった。後者は政治学(主に連邦政府レベル)、交渉学についてケーススタディやシミュレーションゲームを通じて学ぶ授業であった。
アメリカ流のリーダーシップと政治学、交渉学は、日本の組織においても十分応用可能であり、帰国後の仕事で最も直接的に役立つと感じている。また、アメリカの組織と政治を理解するのに非常に役立つだろう。

留学報告3 選択科目

留学報告4 プロジェクト(IPA)、サマーインターン、修士論文(APA)


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by knj79 | 2010-08-07 17:09 | 公共政策大学院(GSPP)
1.GSPPについて
 私は2008年8月にカリフォルニア大学バークレー校の公共政策大学院(以下「GSPP」。学外ではGoldmanと略称)に入学し、2010年5月に公共政策学修士(MPP)を取得した。
1969年の開校以来、公共政策のトップスクールとして定評がある同校であるが、1990年代からゴールドマン財団の多額の寄付を受け、プログラムの拡充及び国際化を続けている。特に、オバマ政権の国務次官補就任のためGSPPを離れたNacht前学長の後任として2009年に就任したBrady学長は、国際化の更なる推進や他学部との連携等、精力的にプログラムの改善に取り組んでいる。
私が学んだMPPプログラムは一学年80人程度が入学する。発足当初、アメリカ国内の政策に重点を置き、アメリカ人学生を多く受け入れてきた同校であるが、90年以降徐々に留学生の割合を高め、我々の学年は30%弱が留学生であった。アメリカ人はシンクタンクやNGO出身の学生が多く、留学生は中央政府・中央銀行の官僚や弁護士、民間企業の出身者が多い。近年の不況に伴い一時的にアメリカ人学生の比率を高めているとは思うが、長期的にはGSPPの国際化を進めるトレンドは続くものと思われる。

2.カリキュラムの概要
GSPPのカリキュラムは、他のポリシースクールと比較して大きく三つの特色がある。1) 計量分析関係の必修が多く、厳しい(Rigorousな)カリキュラム、2) 免除が認められない10週間の夏季インターンシップ、3) 最終学期の大半をしめる修士論文。この三つの違いは、GSPPのカリキュラムと学生生活を他のポリシースクールとかなり違ったものにしているように思える。なお1)の必修科目については、同等の科目を以前に受講している学生は、かなり容易に受講免除が可能であり(免除試験等はなく、教授から同意を得るだけで良い)、一年目から自由に選択科目を取ることができる。
アメリカの最も競争力の高い産業は高等教育であるとよくいわれるが、2年間の教育を受けてみた感想に合致する。カリキュラム全体、それぞれの授業、世界中から集まる優秀な友人など、大学で得られる経験への満足度は極めて高い。


留学報告2 必修科目


留学報告3 選択科目


留学報告4 プロジェクト(IPA)、サマーインターン、修士論文(APA)
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by knj79 | 2010-08-07 16:48 | 公共政策大学院(GSPP)
今日、Cheveron Hallで公共政策大学院(GSPP)の卒業式があった。本当に、本当に素晴らしい一日だった。たくさん書くべきことはあるように思うけど、くたくたなので少しだけ忘れないうちに書いておきたい。

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式の半ばの最優秀論文賞(Smolensky Prize)の発表で、Danが僕の名前を呼んだ時、頭の中が真っ白になった。全く予想をしていなかった。その後、Danから僕のAPAの内容、意義、オリジナリティなど受賞理由の説明が続く。その事自体に現実味が感じられない。おい、あのDanが僕のAPAをえらくほめてるよ、と。

Danから、A potential future leader in energy fieldという、僕には明らかに過大な紹介のあとで、壇上に呼ばれる。思わず顔に手を当てて天を仰ぐ。

68名のClass of 2010の友人たちと、壇上の先生たちが次々と立ち上がり、割れるような拍手と大きな歓声。僕の人生の中で、こんなに大きな拍手と歓声を受けるのは、間違いなく初めてだ。

壇上では、ハーバードの赤いガウン(とても目立つ)を着たDanが笑っている。壇上に向かう途中で、妻と娘が満面の笑みを浮かべて待っている。本当にありがとう、と一瞬3人で抱き合う。お世話になったスタッフたちから、You did it! Congratulations!と声をかけられながら、階段を登る。

階段を上った舞台の上からは、立ち上がって興奮気味に拍手と歓声を送る友人たちの顔がよく見える。みんな、ありがとう。舞台の中央へ進み、Danと抱き合い、少し言葉を交わす。おめでとう。本当によくがんばった、と。そして固く握手をして額に入った賞状を受け取る。壇上ではお世話になった先生方と握手をする。

舞台から降りると、友人たちから、おめでとう!と肩を叩かれ、握手を求められる。妻、娘、友人、先生、みんなの笑顔が何よりも嬉しい。そして席に着く。夢を見ているようだ。

最後にDanから、The hardest partはこれからだ。政策を実行していくことを期待するという激励。そうなのだ。本当に、そのとおりだ。


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今日、多くの人に助けていただきながら、カリフォルニア大学バークレー校にて、公共政策学修士(MPP: Master of Public Policy)を得ることができました。応援していただいた皆様、本当にどうもありがとうございました。
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by knj79 | 2010-05-16 16:22 | 公共政策大学院(GSPP)
ありがたいことに、先週提出したAPAが最優秀論文賞(Smolensky Prize)候補にノミネートされた。

各ゼミ(10人程度)から教官が優秀論文を一つ推薦し、これから今週開催される選考委員会で最優秀論文が一つ選ばれる。あの優秀な10人のゼミ生から選ばれたのは非常に光栄で、驚いている。

最優秀賞に実際に選ばれるのは正直非常に難しいと思う。ただ、この世界の第一人者であるDanにまがりなりにも認められたのは、それだけでとても嬉しい。

すべては、論文を書いている間、支え続けてくれた妻のおかげである。感謝の気持ちでいっぱいである。お忙しい中僕の英文をエディットしてくださったアメリカ人の友人たちにも感謝したい。また、この論文は経済学をともに学ぶ友人・同僚・先輩たちとの議論にインスパイアされた。感謝したい。
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by knj79 | 2010-05-11 02:59 | 公共政策大学院(GSPP)

APA提出

昨日の深夜、メールにて指導教官のDanにAPA(修論)を提出した。
(紙での提出は来週)

最後、これでAPAが終わりだと思うと、メールの送信ボタンを押すのがためらわれた。これでいいのかなという躊躇があり、でももう時間だというあきらめもあった。

朝起きると、Danからメールが来ていた。このプロジェクトは環境政策を新しい方法で捉えるもので、日本の歴史的文脈上とても重要であること、これからも連絡をとりあっていこう、といった内容が書いてあった。

中でも、再生可能エネルギーのような、気候変動、産業競争力、雇用、安全保障などの様々な分野が関係する分野では、まともで、優秀で、多様な人々(neat and smart and diverse people)と一緒に仕事をすることが何よりも重要だというコメントが特に印象に残った。

環境と産業、実務家と学者、NGOと政府あるいは企業、経済学と法学あるいは工学、政策とビジネス、分野が違えば価値観も思考様式も違う。協働という言葉は美しいが、掛け声だけで上手くいかない事例を、それこそなんどもなんども見てきた。

グリーンジョブやグリーンニューディールというコンセプトを立ち上げたDanが体現しているように、分野を超えた大きな絵を描いた成功例には、必ずギャップを埋める核となる人やグループがいるものだ。Danの超人的な生活や歩んできた道のりを聞くと、常人にできることではないとひるんでしまうが、微力ながら僕も異分野の橋渡しをできるようになりたいと思う。
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by knj79 | 2010-05-06 16:01 | 公共政策大学院(GSPP)

こんなの書いたっけなあ

論文の最終チェックをしながら、こんなの書いたっけなあと思う文章がたまに出てくる。先生方に一言一句直してもらったので原型をとどめていない部分もあるのだが、それだけではなく、普通に自分が書いたことを忘れているものある。

ある時に集中して考えたことは、書き留めておかないと忘れる。さらに、書き留めても書いたことを忘れてしまう。

だからたぶん、思いついたことはちゃんとどこかに書いておいた方がいい。そして、それはウェブ上でもなんでも公開しておいた方がいい。自分はそれを忘れても、誰かがぐぐって忘れ去られた考えを活用してくれるかもしれないから。
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シャタック通りのグルメゲットーのあたり。
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by knj79 | 2010-05-05 06:09 | 公共政策大学院(GSPP)
今日修論(APA)の最終発表があった。25分発表、20分質疑応答。ちょっと内容を盛り込みすぎの感があり、発表の最後で少し息切れして2分ほどオーバーしてしまったが、まあよしとしよう。

Danからは、いくつか厳しい指摘をもらったものの、全体的な内容は良いのであとはこの政策をどう売り込むかというフレーミングをもう少し工夫すべきというコメントをもらう。特に、僕の扱っている日本の政策分野の、歴史的な流れと世界全体からみた位置づけを明確にすることによって、より賛同を得られる政策となるだろうということ。一つ上の視点で政策をみるということだと思う。なるほどなあ。

(しつこいようだが)Eightfold Pathでいうところの”Tell your story"だ。クラスメートからも、内容をよりポジティブに見せるようなちょっとした変更を提案してもらった。

みんなの発表のあと、Danも交えてバーで打上げをしてつかのまの息抜きをしたのち、みな明日の修論提出に向けて家路を急ぐ(Danが忙しすぎて提出日の前に打上げをセットせざるをえなかったのである)。卒業後の進路の話をしながら、いよいよ我々も実戦の場に戻っていくことを実感する。

もうひとつの授業のストラテジーメモの提出が今晩ということもあって、修論の仕上げを棚上げして、全然違うメモを書いている(泣)。あとはこのメモの提出、修論の提出、そして来週のファイナル試験を残すのみ。

2年間の修士課程も終りが近づいている。



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by knj79 | 2010-05-04 15:49 | 公共政策大学院(GSPP)

ペーパーレス化成功

環境を良くすることを一応生業にしているので、いつかは仕事のペーパーレス化をしたいと思っていたのだが、恥ずかしながらなんども失敗してきた。しかし、4ヶ月続いたので今回はおそらくうまく行ったといってもいいと思う。ペーパーレスにした方が、生産性も上がったし、快適である。

論文を書くためには膨大な資料を集めて読み込む必要がある。それを全部プリントアウトして整理することはどうしても避けたかった。大きなファイルが何本あっても足りないし、それを保管する場所もない。最近は図書館で勉強するので、持ち運ぶのは不可能だ。

論文の追い込みで、あの資料はどこにあったっけという探してレファレンスを作る時間が劇的に短縮できた。さらに、データベース(End Note)は参考文献リストを簡単に作ってくれる。すべての情報がPCに集約されている状況は超快適である。

情報を集約しすぎていて、これでPCを盗難でもされたら、目も当てられないのだが。。バックアップはとっておこう。

何回もチャレンジしてきて今回ようやく成功したのは、
・ 紙にして保管、活用する不便さがあまりに大きかったこと=ペーパーレスにするメリットの大きさ
・ パソコンの処理速度の向上によってファイルの開閉、検索のストレスが小さくなったこと=ペーパーレスのコスト(ダウンサイド)の改善
だと思う。特に前者が大きい。どうしてもやらないといけないときにはできるものだ。
そしてやってみると、情報をPCに一元化するときの利便性を認識して紙には戻れない感じだ。

帰国後、職場でも完璧にペーパーレス化したいが、うまくいくかな。
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by knj79 | 2010-05-01 17:38 | 公共政策大学院(GSPP)