2008年7月から2年間、カリフォルニア大学バークレー校 公共政策大学院に留学しています。まとまりのないひとりごとです。


by knj79

カテゴリ:公共政策大学院(GSPP)( 98 )

論文の書き方について

どうにか論文が最後までたどり着いて、昨晩レビューをしてくださる先生に送った。親知らずの手術後、鎮痛剤を飲みながら書いているので頭は絶えずぼーっとしていて、バスに乗ると車酔いするし、正直辛いが今が辛抱どころである。今日からは二度目(三度目?)の書き直しに入っている。ようやく論文の書き方のプロセスがぼんやり見えたのではあるが、月曜日発表、火曜日提出ということを考えると、遅すぎる・・・!

1. 材料を集めて中身を作る(Literature review, Modeling, Analysis etc):中身
2. 中身が6割くらい固まった段階で書き始める:執筆
3. 誰かに読んでもらう or 自分で読む:編集
4. 足りない分析が見つかり、追加して分析する:中身
5. 書きかけの文章に分析結果を追加する:執筆
6. 3に戻る

たぶん、分析に完璧というものはないので、早すぎじゃない?っていうくらい早い段階で、1を卒業して2に行くほうが、3-5のプロセスを何回も繰り返すことができるので、結果的にいいものができるんじゃないかな。僕はなかなか2に行きたくない(まだ中身を詰めよう)と思ってしまうのだが、書いて全体像を見ないと足りない部分が分からないというのは事実だと思うから。






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キャンパスも春らしくなってきました。
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by knj79 | 2010-05-01 08:52 | 公共政策大学院(GSPP)
モデルを作って遊んで、勉強になったこと。

・ モデルは現実を表現できる範囲でシンプルであればあるほどいい

・ 小さく産んで大きく育てる。最初から複雑で正確なものを作ろうとしない。まずはできるだけ簡単なものを作る。その後で必要なところまで現実に近づけていく。(外生的な変数を内生的な変数に変えていく、など)。

・ 政策によって変えられる変数はシナリオで分析する。何を目指すのかを知るために。

・ 政策によって変えられない変数は、感度分析でリスクを測る。



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by knj79 | 2010-04-18 10:22 | 公共政策大学院(GSPP)

もう少し

嬉しいニュース。
この秋に日本から3名がGSPPに入学されるとのこと。とても嬉しい。
GSPPのひとつ上の先輩方にはお世話になったので、後輩のみなさんを直接お手伝いができないのは残念だけど、遠くからでもサポートできることがあればやりたいと思う。
素晴らしい2年間となることを、お祈りするばかりである。

出国準備などのご相談を受けながら、2年前を懐かしく思い出す。
そして、ああ、もう僕の留学生活も終わるんだなと実感する。

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by knj79 | 2010-04-15 18:03 | 公共政策大学院(GSPP)
これまでの授業でもタームペーパーは書いてきたけれど、だいたい6,000-8,000wordsくらいだった。今回のものはその倍以上になりそうなので、四苦八苦している。

そもそも、仕事をしている時にひとりでこんなに長い文章を書くことはなかったわけで、全体のロジックを考えながら細部を詰めるという作業に慣れていない。チームで文章を書くというのは、調整は大変だけど、やはり楽なことなんだなと思う。これをひとりでやらないといけないし、しかも英語だから、さらにややこしい。研究者のみなさんはすごい。

大切なのは、細部を書くときには、全体のことは一旦忘れてその部分にだけ集中することだ。今日は第2章だけに集中するとか。その時に前後のことを考えていたら気がちって仕方がない。

逆に、全体のことを考えるときは細部は詰めない。他の人が書いた論文を読むときのように、全体の流れを大づかみしようとすること。書き始めのときはこれは特に重要で、全体像を描くときに細部にこだわっていたら(こだわっちゃうんだけど)何時までたってもアウトラインが作れない。

この切替えができないと、論文を書くのはしんどい。これがいまいちうまくできないんだなあ。。
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by knj79 | 2010-04-14 07:18 | 公共政策大学院(GSPP)
修論(APA=Advanced Policy Analysis)の中間発表が3月中旬にあった。指導教官のDanやクラスメートからは鋭い指摘はあったものの全体的にはいい評価を貰い、まずは第一関門をクリアした。

GSPPは、カリキュラムを見ても分かる通り、定量的な政策立案をすることをAPAにおいて強く推奨していて、定量分析がないとだめよという教授もいる。Danも最初はそう言っていたのだが、現時点で定量分析をしているのは8人いるゼミ生のうち、ぼくを含めて二人だけだった。やっぱり定量分析はハードルが高いんだよな。

余談だが、GSPPのバイブルとも言える"A practical guide for policy analysis"のp38で、著者であるGeneはこう書いている。

ステップ5 政策の効果を予測する

君のリストの中にある政策それぞれについて、政策の効果を定量的に予測すること。これが8つあるステップの中で最も困難なものだ。熟練の政策立案者でさえ、それをうまくやることは難しい。政策立案者はしばしばこのステップを避け、できない言い訳を並べてごまかす。それは驚くべきことではない。

だから、このステップについて最高のアドバイスは単純だ。

やれ。(Do it)


ゼミの終盤、Danから、「な、knjがやったみたいに、モデルを組んで政策評価をしたら、モデルの中の仮定の置き方、計算式の立て方、感度分析とか、いろんなアイデアが出てくるんだ。とにかく、どれだけシンプルでもいいから、モデルを立ててみると本当に有用だよ。」との発言。確かに、ぼくの発表は一番質疑応答が活発だった。

で、今修論を書いている。切った張ったの政策・政治の世界で、こんなに悠長にモデルを組んで変数をいじくって、とやっていられるわけはない。明日の午前中までに、何かいいタマ(政策)を!の世界だ。ダイナミック、ということもできるかもしれない。

でも、政策っていうのは本当は無数の変数の中から、政府にコントロールできる変数はどれで、そうでない変数はどれか、コントロールできる変数をどうやって、どのレベルで決めていくか、直接コントロールできないリスクをどうヘッジしていくか、といった、繊細なものでもある。

そのためには、さっとモデルを組んで、議論をすることをちゃんとやんなきゃいけないのだろうなと思う。インターンした企業では、そういうモデリングをするアナリスト部隊が大量にいた。それは様々なリスクをヘッジしないといけないエネルギー企業という特性上当然だが、政策を作るのだって本質的にはおんなじことをやっているのだぞ、と思う。



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by knj79 | 2010-04-12 08:12 | 公共政策大学院(GSPP)

合格発表

GSPPは先週から、メールで合格通知を送付しはじめました。今年もとても厳しい選抜だったようです。受験された方には本当にお疲れ様でしたといいたいです。
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by knj79 | 2010-03-10 14:18 | 公共政策大学院(GSPP)
GSPPの開校当時の卒業生(MPP'71)である、VenemanさんとGSPPの在校生との懇談会が開催された。こういうセミナーはしょっちゅうあって、参加したあとはいつも何か書き残そうと思うのだが、思うだけである。これからは心に残った言葉だけでも書き残そうと思う。
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WikipediaのVenemanさんの紹介

カリフォルニア州では農務長官、連邦政府で農務次官、農務長官を歴任した後、ここ5年間はUNICEFのトップを勤めていらっしゃる。貫禄のある、鉄の女性という印象であった。

ハイチの現状や開発一般についての話ももちろん面白かったのだが、キャリアについて2つ印象深いことをおっしゃった。

1.自分がこのようなキャリアを歩むとはまったく予想していなかった。機会が現れたら、それが考えたこともなかったものでも、つかんでみることが大事だ。それが若い人に一番いいたいこと。キャリアは計画して作っていくものではない。

2.開発の世界には、プロジェクトを作れる人はたくさんいるのだが、政策を作れる人はほとんどいない。開発の世界では、外部からプロジェクトを持ち込んで一回きりで終わらせることなんてできない。援助をする国の政府を説得して一緒に仕事をすることが、持続的な効果を生む。GSPPで政府の仕事を理解し、政策を作る能力を身に着けたことは、開発の世界でも必ず生きる。



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by knj79 | 2010-03-04 10:46 | 公共政策大学院(GSPP)
授業でやっているOPEC Game。これがなかなかよくできていて、面白い。よく考えて作られたゲームというのは、現実を仮想的に体験する手法として優れている。日本でももっと導入したら教育効果があがると思う。

ゲームではまず、約20人の学生に、OPECの国々(7カ国)が割り当てられる。僕のチームはKuwait。石油を生産できるのは、OPECの国々と、それ以外の国々(Rest of the World: ROW)。OPECの国々は、カルテルを作ることができるが、ROWの国々はPrice takerであり、市場で決まる価格に応じて自動的に生産量を決定する。

与えられるデータは3つ。まず、OPEC各国の可採埋蔵量と、一年間の生産容量。この情報は公になっている。残りは、過去のOPECおよび全世界の生産量とその時々の価格のデータ。

これらのデータを元に、各国は利益を最大化することを目指して10年間、生産を行う。なお、10年後には、新たな燃料(代替財)が$70/barrelの価格で登場することが決まっている。

各国は、それぞれの戦略に沿って毎年(現実には毎日)生産量を決定し、提出する。それぞれの生産額は公にはされない。次の日の朝に、全世界の生産量と価格が発表され、それを見て、自分たち以外のOPECの国々がカルテルを遵守したかを推定し、またその戦略を修正してその年の生産量を決定する。それを10年間繰り替えす。

それぞれの年に得られた現金は、銀行に預金をして利子を得ることができる。利子率は5%。

このゲームは過去数年にわたり行われており、ゲームの評価は、過去のKuwaitチームのパフォーマンスと比較してなされる。

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このゲームがわれわれに伝えようとしているのは、比較的生産量の多いプレーヤー(OPECの国々)が市場にいるときに、そのプレーヤーがマーケットパワーを使って利益を最大化するために、どういう行動をとるインセンティブを持っているのかを実感させることなのだろう。

仮に、カルテルを行うことがない市場(完全競争市場)では、いわゆるホテリング・ルール(Hotelling Rule)に沿った価格をとるように生産量を決定すべきである。Hotelling Pathよりも下の価格になりそうなら、10年目に70ドルで売りはらうのがいいし、逆ならその価格でできるだけ多く売ってしまい、早めに枯渇させるのがいい。

一方、OPECが完全に協調することができる場合には、世界の需要曲線とROWの供給曲線の水平方向の差分をResidual Demand Curve(世界がOPECなしには満たせない需要量)ととらえて、OPEC全体の利益を最大化する戦略をとればいい。利益を最大化するには、OPEC全体のMarginal Cost = Marginal Revenueとなる生産量を選べばよいのだが、ここで重要なのは、MCは単なる採掘コストだけではなく、将来のどこかの時点で生産しないことの機会コストを含めることである。
この場合にはOPECの生産量はずいぶん小さくなり、価格を大きく吊り上げ(monopoly price)、OPEC全体の利益をぐっと増やすことができる。

しかし、ことはそう簡単には運ばない。OPECの中の小国、たとえば僕のチーム(Kuwait。OPEC全体の10%の埋蔵量)のような小国にとっては、カルテルを作ろうといいながら、カルテル破りをしてフル稼働で生産することが利益最大化の合理的な戦略なのである。実際、われわれはその戦略をとり、なかなかよいパフォーマンスをあげている。

ただし、この戦略を続けると、OPECの国々が、お互いのことを信用しなくなる。いくつかの国々がカルテルの割当量を超えて生産し、次の年に各国が価格の下落を見て不信感が増加し、さらに多くの国々がカルテル破りをする。業を煮やしたサウジアラビアが生産量を増加させ、価格が暴落する。

おそらくわれわれのゲームも、歴史がたどった経路をたどることになるだろう。

カルテルを守るのは本当に難しい。
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by knj79 | 2010-02-10 09:59 | 公共政策大学院(GSPP)

秋学期終了

今朝方、最後のレポートを提出して、秋学期が終了した。

今学期は留学生活最大の山場であったわけだが、家族の支えのおかげでなんとか乗り切ることができた。学期が始まる前は、勉強なんてできるのか、と正直怯えていたのだが、今のところ全部Aがきていてほっとしている。家族に感謝の一言である。

内容を振り返ってみると、留学前に研究したかったこと、つまり環境政策とイノベーション政策の融合について、経済学、政策学の視点から3科目にわたって自分なりにしっかり学ぶことができたのは収穫だった。また、リーダーシップの授業では、今まで持っていなかった視点を得ることができた。もちろん実地で訓練をすることによって定着を図る必要があるが、漠然としたリーダーシップのスキルを体系的に学ぶことができるのは、まさにアメリカのプロフェッショナルスクールの本領発揮という感じだった。

これから半年は修士論文に没頭したいと思う。できるだけ多くの人と会って話をしたい。残された時間は短い。

学期終わりに、You survived!と何人かの友人に言われた。ほんとにそうだなと思う。冬休みは妻と娘のために精一杯働きたい。
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by knj79 | 2009-12-22 15:59 | 公共政策大学院(GSPP)
あたらしいポリシーノートがロッカーに投げ込まれていた。

Berkeley Policy Note

ポリシーノートは、GSPPの機関誌で、毎年2、3回発行されている。

出願をお考えの方は、あたらしい学長(Henry Brady教授。アメリカ政治学会会長)の、GSPPの将来展開に関するコメントも掲載されているので、ぜひごらんください。

ところで、ポリシーノートには寄付金の欄もあって(デジタル版では読めないように加工されているみたいだが)、今年はGoldman財団の5millionの寄付以外にも、ベンチャーキャピタルの社長から2.5million以上の寄付があったようだ。教授陣も増えるだろうし、設備などもよりよく整備されることだろう。

Dean’s Message

It is an exciting time to be the Dean of the Goldman School of Public Policy and
to build upon the extraordinary accomplishments of our past deans. Dean Michael
Nacht presided over the construction of a new building, increased the size of our
MPP program, and left a strong and vibrant school to go off to Washington as Assistant
Secretary of Defense for Global Strategic Affairs. We wish him well, and we
await his return when he can regale us with inside stories about how things really
work in Washington. Professors John Quigley and Steve Raphael stepped in as acting
Deans last year and did an exemplary job. I thank them all for their generous and
impressive contributions to the Goldman School.
These are exciting times for the Goldman School because the world, the nation and
the state of California are facing thorny and complex public policy problems that
rouse us to action. The Goldman School’s faculty, students, and alumni are engaged
in finding solutions to important public policy problems — fiscal and economic
issues, education, housing policy, criminal justice, health care, governmental institutions,
global warming and the environment, defense policy, and many other areas.
Members of the faculty are inventing and designing new public policies, advising the
Obama administration, analyzing existing and proposed policies, and commenting
on them almost every day in the news media. Our alumni are in the thick of things
in Washington, Sacramento, and around the world. Our students are fired up over
the chance to solve these problems.
And we are ready to do more. As Dean, I plan to bring more international perspective
and experience into the Goldman School such as the talk we organized on
September 29th with Anwar Ibrahim — former Deputy Prime Minister of Malaysia
and currently leader of the opposition — that drew over 250 people. Because so
many policy problems involve science and engineering, I am forging stronger links
with these areas so that policy analysis can harness the power of technology. I intend
to bring more information technology into the curriculum and into our teaching
and research. Finally, I will reemphasize a traditional strength of the school, politics
and leadership for policy entrepreneurship.
To do this, I have established four faculty and staff “Self-Assessment and Innovation”
Committees that are rethinking all aspects of our teaching, research, and operations
to come up with new ideas and new proposals. The committees focus on:
■■ The role of analytical approaches in public policy — methods, modeling,
economics, statistics, psychology, and other approaches.
■■ How we teach about politics, law, leadership, ethics, management,
information technology, and knowledge management.
■■ Experiential and real-world learning, executive education, internet
education, new degrees or certificates, internships, and our advanced
policy analysis requirement.
■■ Our research climate, research centers, public engagement, and
public prominence.
We have hired MPP students to help us do research for each committee, and we
will be involving students and alumni as we get a better sense of the agenda for each
committee. The four Self-Assessment and Innovation Committees will provide initial
reports at the end of this semester and more detailed reports in late winter. The
faculty and staff have jumped into this self-assessment with great enthusiasm, and I
am looking forward to the results.

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by knj79 | 2009-11-20 09:40 | 公共政策大学院(GSPP)