2008年7月から2年間、カリフォルニア大学バークレー校 公共政策大学院に留学しています。まとまりのないひとりごとです。


by knj79

カテゴリ:環境政策( 97 )

E.P.A. Expected to Regulate Carbon Dioxide

いろいろ時間がないので記事だけ貼り付けておきます。アメリカ連邦政府がClean Air Act(日本でいう大気汚染防止法)によって二酸化炭素を規制、と以前より報じられてきた件の続報です。二酸化炭素はそもそも汚染物質か?という疑問は当然あり、論争になっていたのですが、2007年春に最高裁が「二酸化炭素は大気汚染物質と考えられる」という判決をだしました。当時、このニュースを職場で読んで、大胆なことをするもんだなと驚いたものです。

ちなみに、この最高裁判決、カリフォルニア州の温室効果ガス規制への道筋を切り開いたという点で、カリフォルニア州にとって、非常に大きな意味を持っています。これなしにはカリフォルニア州政府は二酸化炭素規制をすることができなかったのです。このへんは次のエントリで。
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by knj79 | 2009-02-19 14:59 | 環境政策
最近、いろいろな授業で気候変動やエネルギー資源に関する論文・本を読み漁っている。できるだけひとつの論に偏ることなく、ま逆の立場の論文も読んでいる。

そうすると、「どっちがほんとなんだー!」と脳が疲れてくるんだけど、むしろこれは当たり前のことなのだと気を納めて考える。

環境政策が複雑になるひとつの理由は、科学と政治の接点であるから。意思決定には、科学者の提供する「科学的な情報」に頼らざるをえない。それと同時に、政治(社会の意思の総体)としての実施可能性を常に頭に置かないといけない。

それらが拮抗する場所に、環境政策は、いる。

この前のエントリにも書いたとおり、すべての科学は、その定義からして(by definition)常に仮説である。特に、実験系でない科学や新しい科学の場合には、その仮説が検証されて科学者コミュニティーの意見が完全な一致に至ることが難しい。そう、気候変動やピークオイルのこと。

つまり、常に不確実性が付きまとう。こうすればいい、という方向性は一意には決まらない。今読んでいる石油の埋蔵量に関するテーマの論文は、当該分野の最先端を行くGeologist同士でも意見が全く異なることが多い。

だから、環境政策を作る時には、その不確実性を、最善の方法で扱わないといけない。一番ありがちなのは、不確実性を逆手にとり、政治的な実現性から逆算して政策を決めること。そこに実は科学は存在しない。水俣病の悲劇を忘れちゃいけない。

科学を最大限活用しつつ、不確実性を扱うこと。そのために必要なのは、科学者の協力であり、政策コミュニティの科学に関する理解であり、経済学やファイナンス、意思決定科学等の不確実性に対処する知的な蓄積なのかなと思う。
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by knj79 | 2009-02-17 04:46 | 環境政策
妻と朝食を食べながらCNNを見ていたら、「ヒラリー国務長官が日本に到着しました」というニュースが。

CNNの解説によると、今回は
1.経済危機
2.北朝鮮問題(特に拉致)
3.気候変動問題
の3点について日本と意見交換をする様子。

「今回は各国で市民との対話をするヒラリー長官、日本では東大で集会をします」と言ってました。隣で妻が「えー!」。一般公開の場合、こういう大物の講演は3時間とか5時間とか並ばないと入場できないことが多いですが、ヒラリーさんが日本に来るのは任期中はそうそうないと思うので、もし一般公開されるなら学生の皆さんはチャレンジされてはいかがでしょうか。
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by knj79 | 2009-02-17 03:33 | 環境政策
石油関係の昔の本を読むと混乱するのでいわゆるセブンシスターズで名前が変わったものを自分用に書き留めておきます。

BP (Anglo-Persian Oil Company; Anglo-Iranian Oil Company)
Chevron (Standard Oil Company of California)
Exxon (Standard Oil Company of New Jersey)
Mobil (Standard Oil New York; Vacuum Oil)

セブンシスターズのその他の3つは、Royal Dutch Shell(2005年に合併したけど名前は前から一緒), Texaco, Gulf。

あと、名前が変わったのはTotalです。

Black Diamondと呼ばれる石油の歴史は面白いです。たった130年で世界を完全に変えてしまいました。


The age of oil
Prize
The political economy of oil in Alaska
Energy and the making of modern California
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by knj79 | 2009-02-15 17:13 | 環境政策

岐路に立つアメリカ ①

ちょっと重いテーマですが、今年(2009年)はアメリカにとってすごく大きな岐路にあたるなあと思ったので、書けるときにぼちぼちと書いていこうと思います。Energy Economicsの授業での議論やグループディスカッションでインスパイアされているうちに。まだまだ思いつきなので、ご意見いただけると嬉しいです。

まず、なぜ2009年かというと、今年のCOP15で京都議定書の次期枠組みを決めるからです。アメリカはポスト京都の枠組みにどうコミットするのか(あるいはまったくしないのか。これはオバマ大統領の立ち位置からしてありえないと思いますが)をある程度決めなければいけませんから。

で、もしコミットを決めるなら、彼らが持つ膨大なcarbon-intensiveな燃料を使いにくくしてしまいます。carbon-intensiveな燃料とは、エネルギーあたりの二酸化炭素排出量が大きい燃料のことです。オバマ大統領は"dirty fuel"と呼んでいます。

で、アメリカはこのcarbon-intensiveな(あるいはdirtyな)燃料を、世界でおそらく一番埋蔵している国なのです。石炭は世界一、重質原油(Heavy Oil)も世界有数、もっとcarbon-intensiveな燃料(Oil shaleなど)も埋蔵しているといわれています。

さらに、アメリカが最も多く石油を輸入している国、カナダはExtra-Heavy Oil(Tar Sand)を世界一埋蔵しています。Albertaのwellにはアメリカの企業が膨大な投資をしており(原油価格の低下で一時停止してますが)、これがうまく商業化すれば、Country Riskのほぼ全くない国から石油を輸入をすることができるわけです。

単にenergy independenceのことを考えるなら、これらの有効活用を考えるのが普通でしょう。が、エネルギーと気候変動は表裏一体。気候変動のことを考え、これらの資源を使わない方向に大きく舵を切るのか、切れるのか、を今年ある程度決めないといけません。
(ある程度、と書いたのは、今年大統領がコペンハーゲン議定書にサインしても来年上院が拒否すれば京都議定書と同様無視することができるからです。三権分立の徹底している国ですからありえるでしょう。)

この国は、日本やEUなどの多くの先進国と違い、エネルギーの消費を促進するような税制を敷いてきました。要は、安くエネルギーを使えるようにしてきました。気候変動政策として、炭素税、排出量取引、あるいは燃料基準の設定、燃費基準の強化、こういったどれをやっても、結果としては値段が上がるのです。そんなことをこの恐慌のさなかにできるのか、しかも、国際公約というアメリカが一番嫌いそうな方法でやれるのか、というのが僕の疑問です。

今日はこの辺で。
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by knj79 | 2009-02-15 08:42 | 環境政策
今週一週間は、いろいろな意味でとても素晴らしい一週間でした。くたくたですが、充実した疲労感です。そんな一週間を終えて、土曜日。月曜日はワシントン記念日でお休みということで三連休。ほっと一息ついて、朝から家事をしています。洗濯をし、掃除機をかけ、家具を拭き、野菜たっぷりのお昼御飯を作りました。


そういえば、バークレーに在住の皆さん、Shattuck Aveの木曜日のFarmer's Marketは新鮮な野菜が買えて素晴らしいですね。もしまだ行かれていない方はぜひお試しください!絶対満足すると思います。

お昼御飯のあとテレビをつけたら、Stimulus Packageに大統領が署名したというニュースと、Stimulus Packageについての分析を延々やっています。$787billionという巨額に上りましたから、注目度が高いのは当然でしょう。"Who gets what!?(この80兆円近い巨額の支出は、誰にどれだけ流れるのか?)"と連呼しているのが直接的な表現で面白いです(笑)。

昨年の政治学の授業で予算シミュレーションゲームをやっただけに、党議拘束のきかない連邦議会で重要法案を通すのは、議会で多数を占めていたとしても難しいことがひしひしと理解できます。

各議員にとって、重要なのは自分のconstituency(選挙区)であり、政党では全くありません。自分の選挙区への利益が小さいのであれば法案には賛成しない、ではどういう修正があればいいのか、そんなやりとりが各議員とLeadership(民主党議会指導部)との間で繰り広げられたのでしょう。そんな背景をしっているだけあって、協議の過程で、民主党内で法案に反対する議員の要望をひとつひとつ法案に盛り込みながら、(他の法案と同様に)妥協の結果できあがったものであろうと想像します。

GOP(共和党)はPackage自体に緊急経済対策として不適切な予算が盛り込まれていると批判しています。が、それは議会運営上仕方ないのです(もちろんGOPだってそれを理解していると思います)。重要なのは、これからこの緊急予算をいかに賢く効果的に使っていくかです。
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by knj79 | 2009-02-15 07:36 | 環境政策
アメリカ、韓国などのグリーンニューディールの活発な動きを見ていて複雑な思いもあったのですが、日本政府も日本版グリーンニューディール構想を3月にとりまとめる様子。

アメリカの場合も、ここ1年で突然出てきた考えではなく、たとえば2004年ごろからこういった研究(Putting Renewables to Work: How Many Jobs Can the Clean Energy Industry Generate?)を行ったことを端緒に、2007年の連邦議会の公聴会でKammen教授らが証言し、大学、シンクタンク、NGO、ジャーナリスト、企業、そしてオバマ大統領が温めてきたプランなわけです。各界の一流どころが5年間かけて作ったプランですから、それは骨太にもなるでしょう。
アメリカの大きなうねりを目の当たりにして、この国のアカデミアの層の厚さ、異分野の協働のダイナミズムには学ぶところが大きいと思います。

それを考えると、あと1ヶ月ちょっとと非常に限られた時間で、政府内での調整も考えると時間的な制約は非常に大きいと思いますが、雇用問題、経営、経済学、そして環境分野の日本の力を結集して、ぜひ実効性のある骨太なものにしてほしい。
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by knj79 | 2009-02-03 16:23 | 環境政策
計量経済学の授業でSTATAという統計ソフトウェアを使って宿題をやりながら考えたこと。またまとまりのない感想ですが・・・。

インターネットでこれだけデータが公開されて、各自のPCにかなり高度な統計ソフトウェアが搭載されて、政策系大学院で統計のトレーニングを受けた人材が毎年アメリカだけで数千人から数万人(公共政策系だけで80人/校 × 100校以上)いたら、これから加速度的にデータに基づく政策立案が行われていくようになるんだろうな。

データを入手するコストも、処理するコストも激減してきたわけだから、むしろ進んでいかないわけがない。なんてことを思います。

たとえばRAND corporationという有力シンクタンクが提供しているデータはすさまじいの一言。

RANDのデータ

教育、犯罪、環境、ありとあらゆるデータがそろっています。地域データもかなり細かい程度まで提供されています。こちらで日本人研究者の方々と話をしていても、アメリカでできる研究も日本ではデータがなくてできないよ、というコメントを必ずといっていいほど聞くように、とにかくデータはいくらでもある感じ。

日本では、「こんなデータを出しても大丈夫か?」みたいなデータも、こちらではかなりオープンにウェブサイトに載せている。たとえばこれはスコアカードという環境NGOのデータ。自分のうちの近くの企業(工場等)による汚染について調べることができます。)
情報公開をするのが当たり前の風土なんだと思います。それに加えて、クリントン政権が連邦政府に規制の影響評価を事前に義務付けたように、データに基づく政策決定をすることが当たり前になりつつもあります。

日本との彼我の差に愕然としつつも、はたして現実的にこれをどれだけ日本に持ち帰れるのか考えてみたいと思います。そのためにもまずSTATAに習熟して使いこなせるようになろう。
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by knj79 | 2009-02-03 08:33 | 環境政策
今日は時間がないので、アメリカの自動車燃費規制強化に関する記事を貼り付けておきます。

A clean-air choice for Obama

Obama’s Order Is Likely to Tighten Auto Standards

これまで何度も法案が提出され、デトロイトにより20年以上強化を阻止され続けてきたアメリカの燃費規制も、ついに強化されるときが来たようです。

関連エントリ

アメリカ議会の潮目は変わるか?

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by knj79 | 2009-01-26 13:43 | 環境政策

JUNBA2009のご案内

本日、LBLのA様に教えていただきました。ベイエリアに事務所を置く日本の大学が年明けに環境をテーマにしたイベントを行うようです。日本に最近進出した電気自動車ベンチャーのTesla Motorsなど、クリーンテック系のベンチャー企業も参加するみたいなので、ご興味のある方はどうぞ。カリフォルニア大学(バークレー含む)やLBLも参加するみたいですね。


JUNBA 2009 Next Step to Greener World
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by knj79 | 2008-12-19 10:57 | 環境政策