2008年7月から2年間、カリフォルニア大学バークレー校 公共政策大学院に留学しています。まとまりのないひとりごとです。


by knj79

カテゴリ:キャリア( 18 )

聞いたときには経験不足のために、にわかには得心し難いのだが、本質をついているために心に刺さって離れない言葉というのがある。大学の恩師の言葉にはそういう言葉が多い。

その一つが、「二つの分野がわかれば、世の中のことはだいたい分かる。」というものだ。

一つじゃだめだ、一つだけだとその分野のことしか分からない。二つなきゃいけない。二つわかれば、あとは他の分野は大体おんなじだとわかる。理解のベースができる。

浅い理解じゃ意味がない、わかるっていうのは、深いところのメカニズムがしっかりと分かることだ。上っ面だけをわかったような気持ちになっても、新しいものは何も作れない。

こういう言葉は、自分が何かを選択するときの基準になるものだなと思う。この2年間、興味のままに広く浅く学ぶのではなく、経済学やエネルギー市場について深く学ぶことを選んだのは、この言葉に影響されたからだ。実際、ひとつのことを深く学ぶことで、同じような現象が違う分野でも形を変えて起こっていることがすごくよく分かる。

まだ「本当にわかった」というには、遠いところにはいるのだが、自分にとっての「二つ」というのは、工学と経済学、その応用の場は環境政策ということになるのだと思う。
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by knj79 | 2010-04-12 04:02 | キャリア | Trackback | Comments(0)
いつも読ませていただいているmasahさんのブログで、人生で達成したいことって?というエントリを書かれていて、こうやって大切なことをまっすぐに見据えて、なおかつ書けるっていうのはすごいなあと尊敬する。

今学期のリーダーシップの授業でそういうことを考えさせられる宿題やリーディング、ディスカッションが多く、自分の軸をきっちりと把握して、人に伝えられないとまずいなと思うことが多々ある。全然まとまっていないけど思いついたことをとにかく書いてみる。

自分の場合、まず第一に自分の家族が幸せになれるような環境を整えることだと思う。まだまだ未熟なので、できていないことも多いけど、ここができないと何にもならないと思うのでがんばりたい。

第二に、日本・アジアの環境問題(公害等による健康被害・農業被害、気候変動による災害など)によって多くの人々が苦しむ現状、そしてこれからさらに悪化する状況の改善に政策というツールをつかって少しでも貢献したい。

言い方は悪いが、古今東西、環境問題なんていつだって邪魔者で、後回しだ。環境問題は、前向きな経済活動に伴って起こる副作用だからだ。それでも、環境問題でダメージを受ける人たちは数多くいる。そして多くの場合、ダメージを受けている当事者は、その原因を特定できずにいる(少なくとも政府などにはその原因を公式に認めてもらえない)。東大の柳沢先生がおっしゃるとおり、環境問題は、誰かがそれを「環境問題だ」と「証明」できない限り問題にはなりえないという構造があり、解決への道のりを一層難しくしている。

それでも、微力ながら何かできることがないかと今でも探しているのが正直なところ。短い期間だけど、これまで日本・アジアの国々の政府や企業、NGOの人たちと出会い、時に涙を流しながら健康被害の現状を訴えられたり、一緒に筆舌に尽くしがたい環境汚染の現場を見に行ったり、信じたくないようなショッキングな話を聞いたりして、そのたびに、怒りとか、悔しさとか、これは「仕方ない」では済まされないという気持ちが強くなった。それとともに、まずは発展をしなければ何も始まらないということもひしひしと伝わってきて、持続可能な開発という、やや苦しい考え方がなぜ出てきたのかも分かってきた。対処療法的に、苦しむ人たちを助けられるような問題ではなくて、構造的なところを変えていかないといけないんだと。

で、具体的な答えはまだないが、環境保全と経済開発を両立しうる解が、もしかするとありうるんじゃないかという希望を持って、今バークレーで学んでいる。ポーターの仮説は美しいけど、そんなきれいごとが実際の交渉の場ではけるかというとまだその自信はない。でも近いうちに、経験を蓄えて、ポーターの言う"properly crafted environmental regulation"を作っていきたいと思う。
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by knj79 | 2009-09-30 16:26 | キャリア | Trackback | Comments(3)

攻めと守りと

どうせ働くなら、今ある利益を確保しようとする仕事ではなく、新しい価値を作り上げていく仕事がしたい。環境政策や、Renewable Energyの推進を仕事にしたいと思うのは、それがひとつの理由だ。

どこまでいっても不確実性が残るものに対し、どちらの側に立つか、どちらに賭けるか。扱うのは未来のことだ。必ず不確実性はあり、現状維持の方がReliableに決まっている。そんなことは言うまでもないことだ。そして、リスク加味して費用対効果を冷静にとらえたうえで、意思決定を下さなければいけないことも、また言うまでもない。

それらの不確実性と現状維持の誘惑があったとしても、よりよい未来を達成しうるオプションがあるのなら、それを選び、行動すること。守るのではなく、攻めること。守る側も、変化の気運を機会ととらえ、攻めに転じること。

カリフォルニアは、企業も、政府も、そしてキャリアを持つ個人も、体を張ってそれを実行している。カリフォルニアは本当に面白いところだ。

攻める側、守る側、働く場合にはそれぞれ違った種類のしんどさとやりがいがあると思うけど、自分は攻める側で仕事をしたいなと、インターンをしながら再確認した。
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by knj79 | 2009-08-07 12:51 | キャリア | Trackback | Comments(2)

職場の雰囲気

インターンは、内容ももちろんだけど、アメリカの大企業の本社ってどんな雰囲気なんだろうという好奇心も強かった。新鮮なうちにかいておく。

同僚は、みんなとても明るく、きさくだ。取締役級の人たちでも、もう、何でも聞いてよ!みたいな感じでにこにこしていいかんじ。名前は一度聞いたら覚えるらしく、こちらが知らない人とすれ違っても、にこっと笑ってHi Knj!と挨拶。あの記憶力はすごい。

白人比率が8割以上。9割以上かもしれない。白人比率の低いベイエリアで、この割合は普通ではない。会議に出ると、自分ひとり非白人ということも多く、うーむ、すごいところに来てしまったなあと思う。ちなみに、バークレーでの白人比率は確か3割くらいだったと思う。

バークレーの卒業生がやたらといる。僕がいる部屋(4人でシェアしている。広い。)は全員バークレーの卒業生だし、自己紹介をすると、「どこから来たの?バークレー?僕/私もだよ!Go Bears!!」といわれる確率が結構高い。自分のフロアのインターンも、5人ほどバークレーからきている。「バークレーの卒業生、多いですね」、と同僚にいうと、「うちの本社は半分がバークレー、残りの半分がスタンフォード、あとはいろいろだよ」と言われた。まあ、それは冗談だと思うけど、確かに多い。

勤務時間中は、私語はほとんどなく、一心不乱に仕事をする。昼食も結構机でさくっとおわらせて仕事に取り組み、5時から6時くらいに帰ることが多い。その分、朝7時くらいから始めている人も多いわけだが。

会議が時間通りに必ず終わる。黙ることはまずなく、がーっと意見を言い合うものの、Senior Vice President や Directorの仕切りが非常にうまく、発散せずに会議の目標に向かってぐっと収束する。特に僕の課の課長(Director)が若いのに非常にキレ者で、そのマネジメントスタイルは真似したいと思わせる。かつハンサムで超いいひと(Extremely niceといろんな人に言われている)。

席が広い。ありがたいことに、僕も社員と同じく大きな机と棚をいただいているのだが、日本ならなかなかないような環境で仕事をしている。


初夏のバークレーは本当に気持ちいい天気です。
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by knj79 | 2009-06-25 11:31 | キャリア | Trackback | Comments(2)
20代、独身のうちは自分の手に負えないことも含めてどんどんやって、自分のキャパを広げることを目指していた。その分、周りの人に迷惑もかけていたのだと思う。今結婚をし、30歳になり、方向転換の必要性をひしひしと感じる。もう今までとは違うんだぞ、と心の底から思う。自分のためにすべての時間を使うことはしない。家族のためにできるだけ多くの時間を使いたい。

仕事はあくまで人生の一部でしかない。仕事と自己実現を重ねる風潮が日本には強くて、それ自体に反対はしないが、ひとつ間違えると仕事が人生のほとんどを占めてしまうことにならないか?アメリカで仕事以外の生活を大切にし、人生を楽しもうとする友人たちに会い、余計そう思うようになった。

ワークライフバランスなんていう言葉が流行りだけど、仕事は放っておいても本気でやることになる。今後僕が家庭や生活にできるだけ多くの時間をかけるためには、集中力を最大限まで高めて、生産性をあげて仕事を最短で終わらせること、そして家庭や生活を侵食する可能性のある雑事を減らすこと、この二点が必須だと思っている。優先順位を間違えないようにしよう。
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by knj79 | 2009-03-28 08:00 | キャリア | Trackback | Comments(3)

ゲームのルール

当り前のことなんだけど、忘れてしまうこともあるので書いておく。
一般論。

何かをしようとするとき、その効果的なやり方を見つけてしまえば、ことは7割くらい終わったと思っていい。何をするにも(本当にありとあらゆることについて)、適切なやり方というのはある。当然、一人ひとりその「やり方」は違う。でも、自分に合ったやり方を一度見つけたらそれを変えずに洗練させていく方がいい。「型」と呼んでもいいかもしれない。

また、その一段階前に、そもそも自分が具体的に何をすればいいのか分からない時(一般的にはこれが普通)には、自分が参加しているゲームのルールを見抜くことがまず必要。ゲームのルールが把握できれば、ことは半分くらい終わったと思っていい。そこから自分は何をすればいいかに落とし込む。

ここから得られる教訓は何か?

・ 自分がどういうゲームに参加しているのかを常に意識し、そのゲームのルールを見つけようとすること

・ 物事をする時にはしかるべき「やりかた」というものがあることを認識し、そのやりかたを見つけようとする意識を持って物事に取り組むこと

以上二つがまず基本。こういう意識がないと前に進めない。これができていれば現実的には7割くらい終わっている。そして、

・ ルールとやりかたを見抜いてしまえば、あとは単なるゲームとしてできるだけ淡々とそれらの仮説に繰り返し修正をかけていく。無意識にできるようになるまで定着させていくこと。
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by knj79 | 2008-12-02 20:56 | キャリア | Trackback | Comments(0)

わがままに

学生をやっていると、考える時間や自分をみつめる時間ができるので、いろいろと発見がある。

たとえば、僕は興味のあることは誰に言われるまでもなく勝手にしつこくやるけれど、必要性が感じられないことはやらない。30年近くこういうスタイルでやってきて、いまさら変えるのも難しい。まゆをしかめられることもある。でも、申し訳ないけどこういうやりかたが自分に合っているんだな、と最近思う。

それで、結局、諦めた。
重要なことは、自分という人間から出しうる最大のアウトプットを出すことなわけで、そのためには自分にあったやり方でやることがおそらく最適だと思うから。働いているとここまで極端に自分のやり方を貫き通すことは難しいのは事実だけど、学生の間くらい、わがままを貫き通してもいいのではないかと思うようになった。

その上で、自分に課すルールはひとつ。

興味のあることは、いやになるまで徹底的にやる。いやになっても徹底的にやる。24時間、365日、徹底的にやる。

覚悟を決めてがんばろう、と思う。
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by knj79 | 2008-10-19 11:34 | キャリア | Trackback | Comments(0)

世界はフラクタル

前にこんなこと書きましたが、同じことが日本でだっていえるんですよね。

東京は日本中から若くて意欲と野心のある人材を吸い込んで、ますます繁栄しています。日本は落ち目でも、東京だけは栄える構図の根本は人材にあると思います。育ててもらった街に恩返しをしたいという気持ちがありつつ、自分のキャリアのことを考えると、活躍の場が与えられる東京に残りたいと思う。僕だって瀬戸内のまちからわざわざ東京に移ってきているわけで。

これって、要は途上国の優秀な人材がアメリカに残るメカニズムと一緒。途上国(地方)にしてみれば、手塩にかけて育てた若者をアメリカ(東京)が吸い取ってその果実だけ収穫する。不公平だ、ということになる。でも、意欲と野心と能力のある若者は、自らの意思で移動しているわけで、途上国(地元)にしばりつけることは究極的にはできない。

中国等の友人が持っている悩みと同じ気持ちをぼくも持っていたんでした。かように世界はフラクタルです。同じ現象が小さなスケールでも大きなスケールでもおこっています。
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by knj79 | 2008-09-24 18:49 | キャリア | Trackback | Comments(0)
毎度おなじみエネルギーと社会の授業で、第二次オイルショックの話になりました。時は1978年、イラン革命のあとイランが石油の輸出を停止し、石油価格が急騰しました(といっても、現在価格に直して60ドル程度で今より安い)。アメリカでは、Oil CrisisとかEnergy Crisisと呼びます。

ここでDan教授、しばし昔話。

「このころ、カーター大統領の支持率が急落してね。まずはこのOil Crisisで石油が高騰。さらにイラン革命でアメリカ人外交官50人以上が人質にとられて一年以上交渉が続いた。Iranian hostage crisisだね。Oil Crisisも、石油を人質にとられたわけだから、これだってHostage Crisisだ。危機に対して手も足も出ない大統領ってことで、批判が集中したよ」

さらに。

「しかもこのころ、日本に雇用を奪われて、自動車やコンピュータでも負けて、大変だったんだよ。Japan as NO1っていう本しってるかい?日本脅威論が叫ばれてたよ。しらない?」

しーん。(僕だけ手を挙げる)

「それでカーターはレーガンに負けちゃったんだ。
さて次行くよ。この写真のとおり、中国が今アフリカの石油掘削に一番力を入れている。それと同時に文化外交としてラジオ局を各地で開設もしている。アメリカが途上国に対して昔やってたことをみんなやってる。アメリカの世界戦略をたてていた人たちは、「ありゃわれわれがやってたことじゃないか」ってみんな驚いてる(笑)(以下略)」

あー、そりゃ22,3の学生は生まれてないから知らないだろうな。日本って昔は一人当たりGDPは世界一位だったんだよ、なんていっても信じないんじゃないかなあ?今じゃ一人当たり所得でもアメリカの8割だもんな。北欧や中東の国の6,7割だったりするからな。
僕らの世代が生まれてこのかた耳なれた世界第二の経済大国という言葉も、あと2年くらいでお別れです。環境を仕事にしている以上、別にGDPにこだわるわけではないですが、なんとなく日本のこの先についてちょっと考えこんでしまいました。また次のエントリででも、自分の考えをさらっと書いてみたいと思います。
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by knj79 | 2008-09-24 10:22 | キャリア | Trackback | Comments(0)
6月末に渡米して早2ヶ月とちょっと。
留学期間の約1割が経過しました。
時がたつのは早い。

アメリカに来て、いろいろな大学院、いろいろな職業の
方々と出会い、お話をする機会を得る。
これも留学の醍醐味の一つだと思う。

自分のことをよりよく知るためには、自分と違う
考え方、境遇にある人たちと話をするのが一番だ。
わざわざ外国に来て、変な感じもするけれど、
自分のやりたいことだとか、今後について考える。

大学時代、進路に非常に迷い、友人たちと
あーでもない、こーでもないと話あった。
自分の可能性を知りたくて、引きこもりがちな僕としては
面倒さを振り払い、就職活動もやって、インターンもした。
総合商社や外資金融・コンサル、自動車メーカーなど
魅力的なお話をいただきながら、
結局環境政策を仕事とすることを選んだ。

なんでだろう。

僕が最後の最後まで行くかどうか迷った機関での
面接を思い出す。
「君はなぜ、大きな責任のあるポストにその他大勢の人よりも
 早い段階で就くのか、わかるか?」
「組織を率いてより効果的に仕事ができると考えられているからでしょうか」
「違う。そういう小さな話ではない。君が若い段階で重い責任を与えられる
 のは、君が誰よりもこの国の行く末を深く考え、どういう社会であるべきか、
 どう舵をとっていくべきか、そういったビジョンを描くことができるという
 その一点においてのみ、正当化される。それができないのであれば、
 いくら優秀であったとしても、責任を負う資格はない。」

ここで働くことは結局なかったわけだけれど、このメッセージは
いまだに心に残っていて、自問自答をしている。

そして、この2年間は、なによりもこのことを考え続けたいと思っている。

持続可能性・安全保障という文脈で、日本を今後30年間で
どういう社会にしていくべきか、どう舵とりをするべきかというビジョン。

自分の身の丈に合わない大きすぎる話ではあるのだけれど、
これにこたえられないのであれば、責任を負う資格はないんだと思う。
そして、自分の手に負えるスケールの話ではないから、
志のあるいろいろな人の話を聞き、一緒に作り上げていけたらと思う。

このことを考え続けたいというのが、今の職業を選んだ自分の答えだと
思います。
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by knj79 | 2008-09-13 17:16 | キャリア | Trackback | Comments(4)