2008年7月から2年間、カリフォルニア大学バークレー校 公共政策大学院に留学しています。まとまりのないひとりごとです。


by knj79

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昼間、カフェで論文を書いていたら、服用している親知らずの鎮痛剤のせいか、頭がフラフラになってしまった。グロッギーになっていたところで、妻と娘がやってきて気持ちいい天気のアルバニーの街を散歩をしながら帰ってきて、ひと眠りしたらずいぶんと頭がすっきりした。時間はないので体調はともあれやるしかない。

修士論文のドラフトを妻の友人で家族ぐるみでお世話になっている先生に読んでもらったら、英語だけでなく内容やロジックについてもかなりコメントをいただけけた。ありがたいことである。プリンストンの公共政策大学院で博士をとられて、環境コンサルとして国際的に活躍された先生だけあって中身もよくわかっていらっしゃる。ぼんやり書いた部分はかなり厳しいことも書かれていて、勉強になる。とともにちょっとへこむ。

論文を書いていると、論理的にはここまで言える、というところまで行きたいと思う。もちろん前提となる数字やモデルによって結論は変わってくるのだが、それはそれだ。僕はもとが理系だからかもしれないが、論理的に考えれば、誰がやろうが同じ結論が出てくるはずだ、と強く信じている。結果が人によって違ってくるとすれば、それは前提や計算式(モデル)が違うことが理由であって、それを明確にすればいいはずだと。

だから、今書いている論文も、あまり前職の主義主張とは関係ない。あるいは反しているかもしれない。自分としては、論理的にいうとこうなるはずだ、こういう考え方がモデルを組めばこうなります、といういたって中立的な気持ちで書いている。

卒業して、仕事を再開してからも、論理的にはここまでは言える、という確固としたものを持ちつづけたい。それが身も蓋もない話であったとしても、それを言い続ける義務というか責任があるのではないかと思うからだ。
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by knj79 | 2010-04-26 16:06 | 環境政策

小休止

修士論文のドラフトを提出したり、ローレンスバークレー研究所の研究者とのミーティングの準備をしたりで寝不足が続いた今週。疲れと寝不足のせいか、下顎の親知らずがいきなり腫れて痛みだした。

水曜日に痛みが悪化するのに耐えかねて歯医者に出向いたところ、幸運にも(?)即手術をしてもらえた。手術後は延々と寝込み、ようやく回復して今晩から論文に復帰する。頬は未だにおにぎりのように膨らんでいる。家事育児に参加出来ないにも関わらず、文句ひとつ言うことなくせっせと僕の離乳食的なご飯を作って介抱してくれる妻には感謝の気持ちでいっぱいである。

大学の保険(SHIP)では歯医者もカバーされているので、安心して歯医者にかかることができるのが不幸中の幸いだった。スケジュールから3日ほど遅れてしまったので、これから5月4日の論文提出まで、巻き返しを図りたい。
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by knj79 | 2010-04-25 17:26 | その他
クリントンさんがバークレーにやってきた際の講演はYoutubeのUC Berkeley Channelにアップされていました。僕はチケットとれませんでしたが、その場にいなくてもこうやってビデオで世界中から見られるのはいいですね。



UC Berkeley Channel
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by knj79 | 2010-04-21 07:58 | UCバークレー

入退出の自由

市場は効率的なのは、何かマジカルなことがそこで起こっているからではない。

効率的でない参加者がいる場合には、より効率的な者が参入して顧客を獲得し、その結果効率的でない参加者が退出せざるを得なくなる。その結果として、市場はより効率的な方向に向かう、という話だ。

入退出を妨げてしまうと、市場が本来持っている効率化機能が失われてしまう。

労働市場についても近いことが言える。雇用の流動性が異常に小さい社会では、社会全体の効率が著しく損なわれていると考えていいだろう(転職が少ない理由が、長期的な視野にたった合理的な行動であれば良いのだが)。

金銭的に、あるいは精神的に、労働の対価を得られないことが明らかである時に、その場で働き続けることは、個人にとっても、社会全体にとっても非効率だ。
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by knj79 | 2010-04-20 07:48 | 環境政策

ビル・ゲイツさんの講演

バークレーには有名人が結構よくくるのだが、超大物となるとチケットの確保が難しい。最近もクリントン元大統領の講演のチケット販売サイトが混雑しすぎていて、接続すらできなかった。が、今回はうまくビル・ゲイツさんの講演に参加することができた。

内容は、彼が私財を投じて設立したBill & Melinda Gates FoundationがフォーカスしているGlobal HealthとInternational Educationなどについて。講演自体は明日辺りにYoutubeやiTunes Uにアップされるので、ご興味のある方は御覧下さい。

エンターテイメント、スポーツ、金融などにとられている優秀な人材を、どれだけこれらの重要な分野に引き込めるかどうかが重要という意見には頷くしかない。パブリックな分野は、サラリーではそれらの分野と競えない。そのかわりに、若者の志をひきつけ、やりがいが継続的に得られるような環境でなければ、優秀な人材を確保し続けることは難しい。

彼の言葉は一つ一つが重かった。あのビル・ゲイツが今何を考えているのかを直接聞くことができただけでも良かったと思う。

ただもう少し、ゲイツさんの人柄に踏み込んだパーソナルな話も聞きたかったのだが。まあ、そこは時間も短かったし仕方ないか。
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by knj79 | 2010-04-20 05:01 | UCバークレー
モデルを作って遊んで、勉強になったこと。

・ モデルは現実を表現できる範囲でシンプルであればあるほどいい

・ 小さく産んで大きく育てる。最初から複雑で正確なものを作ろうとしない。まずはできるだけ簡単なものを作る。その後で必要なところまで現実に近づけていく。(外生的な変数を内生的な変数に変えていく、など)。

・ 政策によって変えられる変数はシナリオで分析する。何を目指すのかを知るために。

・ 政策によって変えられない変数は、感度分析でリスクを測る。



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by knj79 | 2010-04-18 10:22 | 公共政策大学院(GSPP)

もう少し

嬉しいニュース。
この秋に日本から3名がGSPPに入学されるとのこと。とても嬉しい。
GSPPのひとつ上の先輩方にはお世話になったので、後輩のみなさんを直接お手伝いができないのは残念だけど、遠くからでもサポートできることがあればやりたいと思う。
素晴らしい2年間となることを、お祈りするばかりである。

出国準備などのご相談を受けながら、2年前を懐かしく思い出す。
そして、ああ、もう僕の留学生活も終わるんだなと実感する。

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by knj79 | 2010-04-15 18:03 | 公共政策大学院(GSPP)
政策を作るときのプロセスを、論文の整理がてらまとめてみる。

何を目標とするのか、と、それをどうやって達成するのか。

これらはそれぞれリンクしているけど、一緒くたにして考えてもいけない。

1. 何を目標とするのか

何を目指すのかは、自明ではないし、簡単にわかることではない。

通常、いくつかの選択肢があって、それらを比較して選ぶことが、目標を決めるということに等しい。ではどうやって決めるのかというと、

・ 評価基準(criteria)を設定する

ことから始まる。ここを適当にやってしまうと、なぜAという選択肢を選ぶのかが分からない。

政策を作るときに一般的に用いられる評価基準は、経済効率(コスト)、負担・受益の平等さ、正義・公平、政治的な実現可能性、行政での実施可能性などがある。

次に、

・ 選択肢を複数の基準によって評価する

イメージとしては、選択肢を横に、評価基準を縦にとってマトリックス(表)にすること。それぞれの評価基準で○、×、△をつける感じになる。モデルを組んで定量的な評価ができる場合には、いくつかの軸にプロットをすることもできる。

・ トレードオフを見る

どれか一つの選択肢がすべての評価基準について優れていれば、それは文句なしに目指すべきゴールになる。でも、そういうケースはまれだ。どの評価軸でも全然だめな選択肢を排除した上で、2,3の選択肢について詳細に検討することになる。

・ 決める

決める、というのは、それぞれの評価基準に重み付けをするということ。

以上のプロセスが、目標を決める、ということになる。政策立案の上では、ここまでが前半。


2. それをどうやって達成するのか

は、また今度。


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by knj79 | 2010-04-14 10:12 | 環境政策
これまでの授業でもタームペーパーは書いてきたけれど、だいたい6,000-8,000wordsくらいだった。今回のものはその倍以上になりそうなので、四苦八苦している。

そもそも、仕事をしている時にひとりでこんなに長い文章を書くことはなかったわけで、全体のロジックを考えながら細部を詰めるという作業に慣れていない。チームで文章を書くというのは、調整は大変だけど、やはり楽なことなんだなと思う。これをひとりでやらないといけないし、しかも英語だから、さらにややこしい。研究者のみなさんはすごい。

大切なのは、細部を書くときには、全体のことは一旦忘れてその部分にだけ集中することだ。今日は第2章だけに集中するとか。その時に前後のことを考えていたら気がちって仕方がない。

逆に、全体のことを考えるときは細部は詰めない。他の人が書いた論文を読むときのように、全体の流れを大づかみしようとすること。書き始めのときはこれは特に重要で、全体像を描くときに細部にこだわっていたら(こだわっちゃうんだけど)何時までたってもアウトラインが作れない。

この切替えができないと、論文を書くのはしんどい。これがいまいちうまくできないんだなあ。。
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by knj79 | 2010-04-14 07:18 | 公共政策大学院(GSPP)
修論(APA=Advanced Policy Analysis)の中間発表が3月中旬にあった。指導教官のDanやクラスメートからは鋭い指摘はあったものの全体的にはいい評価を貰い、まずは第一関門をクリアした。

GSPPは、カリキュラムを見ても分かる通り、定量的な政策立案をすることをAPAにおいて強く推奨していて、定量分析がないとだめよという教授もいる。Danも最初はそう言っていたのだが、現時点で定量分析をしているのは8人いるゼミ生のうち、ぼくを含めて二人だけだった。やっぱり定量分析はハードルが高いんだよな。

余談だが、GSPPのバイブルとも言える"A practical guide for policy analysis"のp38で、著者であるGeneはこう書いている。

ステップ5 政策の効果を予測する

君のリストの中にある政策それぞれについて、政策の効果を定量的に予測すること。これが8つあるステップの中で最も困難なものだ。熟練の政策立案者でさえ、それをうまくやることは難しい。政策立案者はしばしばこのステップを避け、できない言い訳を並べてごまかす。それは驚くべきことではない。

だから、このステップについて最高のアドバイスは単純だ。

やれ。(Do it)


ゼミの終盤、Danから、「な、knjがやったみたいに、モデルを組んで政策評価をしたら、モデルの中の仮定の置き方、計算式の立て方、感度分析とか、いろんなアイデアが出てくるんだ。とにかく、どれだけシンプルでもいいから、モデルを立ててみると本当に有用だよ。」との発言。確かに、ぼくの発表は一番質疑応答が活発だった。

で、今修論を書いている。切った張ったの政策・政治の世界で、こんなに悠長にモデルを組んで変数をいじくって、とやっていられるわけはない。明日の午前中までに、何かいいタマ(政策)を!の世界だ。ダイナミック、ということもできるかもしれない。

でも、政策っていうのは本当は無数の変数の中から、政府にコントロールできる変数はどれで、そうでない変数はどれか、コントロールできる変数をどうやって、どのレベルで決めていくか、直接コントロールできないリスクをどうヘッジしていくか、といった、繊細なものでもある。

そのためには、さっとモデルを組んで、議論をすることをちゃんとやんなきゃいけないのだろうなと思う。インターンした企業では、そういうモデリングをするアナリスト部隊が大量にいた。それは様々なリスクをヘッジしないといけないエネルギー企業という特性上当然だが、政策を作るのだって本質的にはおんなじことをやっているのだぞ、と思う。



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by knj79 | 2010-04-12 08:12 | 公共政策大学院(GSPP)