環境上の欠乏が引き起こす紛争(ケーススタディ)
2008年 07月 19日
具体的な事例を見てみましょう。
① バングラデシュ―アッサム
この50年間、バングラデシュの人口は増加しつづけており、、2025年までに
人口が1990年の2倍になると予想されています。増え続ける人口を養う
ために過耕作を続けた結果、良い耕作地が減り、それにともない食料生産量が
減ってしまいました。
十分な食料が得られない数百万人(!)のバングラデシュの人々は、
インドのアッサム地方に移住しました。
この膨大な数の移民は、受け入れ地域であるアッサム地方の政治経済に
大きな影響を与え、社会ストレスを増加させ、深刻な民族間、集団間の
紛争(Intergroup Conflict)を引き起こしました。
その一例としては、インドのLalung族(ヒンズー教徒)が、イスラム系移民に
対して、農地を奪われたことへの怒りから攻撃し、その結果1,700人の
移民がなくなったという事件もありました。
バングラディシュ政府はこのような環境難民のインドへの移住を防ぐことを
試みているものの、難民の流出は止まらず、インド国境での緊張は続いて
います。
この事例は、人口増加という要因から紛争が引き起こされた事例として
紹介されています。
② セネガル河川流域
次の事例は、食料生産を増加すべく実施した灌漑の大規模開発プロジェクト
が、結果として淡水という再生資源への市民のアクセスを逆に制限し、
紛争を引き起こしたというものです。
実は、このプロジェクトは①のような食糧生産の低下による環境難民を
防ぐために実施されたものだったのですが、結果としては集団間の紛争を
引き起こしてしまったのでした。
難しいものです。
(続く)
これも普通に授業をやっている大学の校舎です。いまだに観光地に来ている気がしてなりません。